みどころ

本展のみどころ

国宝
「十一面観音菩薩立像」
東京で初公開

奈良時代(8世紀)に造像された数少ない天平彫刻のなかでも、名品と賞される本像を、東京で観覧できるのは本展が初めてです。

360度ぐるり観覧

優雅な表情、均整のとれた体軀、姿勢、しぐさの美しさを360度さまざまな角度から観覧できます。

三輪山信仰のみほとけが
約150年ぶりに再会

会場に大神神社の三ツ鳥居を再現し、三輪山信仰にも迫ります。江戸時代までは神社に仏がまつられるのは珍しくなく、法隆寺にまつられる国宝「地蔵菩薩立像」、正暦寺「(にっ)(こう)()(さつ)(りゅう)(ぞう)」、「(がっ)(こう)()(さつ)(りゅう)(ぞう)」も大神神社にまつられていました。


国宝 地蔵菩薩立像

国宝 地蔵菩薩立像
平安時代・9世紀 奈良・法隆寺蔵

月光菩薩立像(部分)

月光菩薩立像(部分)
平安時代・10~11世紀 奈良・正暦寺蔵

日光菩薩立像(部分)

日光菩薩立像(部分)
平安時代・10~11世紀 奈良・正暦寺蔵

国宝 十一面観音菩薩立像
像高 209.1㎝ 奈良時代・8世紀 木心乾漆造り、漆箔 奈良・聖林寺蔵

日本彫刻の最高傑作、
東京で初公開

国宝 十一面観音菩薩立像
頭上面 ― 頭上には11の面がありましたが、現在は仏面1、菩薩面2、怒った面3、牙を出した面2が残ります。
顔 ― 目が吊り上がったきびしい眼差しです。口元がわずかに下がっているのもその印象を強めます。
プロポーション ― 八頭身のすらりとした姿が魅力です。しかし、胸は厚くで腰はくびれ、充実した厚みがあります。
衣文 ― 細い襞や太い襞、ふくらみのあるもの鋭いもの。柔らかな衣を写実的に表すために、さまざまな襞がみられます。
天衣 ― 両腕から台座に垂れる天衣の曲線の美しさは他に例をみません。
手 ― 力を抜いてゆったりとした指の美しさに目をうばわれます。左手も優雅に水瓶を捧げ持ちます。
台座 ― 台座は咲きほこる蓮の花をかたどっています。花弁がひろがった華やかな表現は、天平美術の特徴です。

頭上面

頭上には11の面がありましたが、現在は仏面1、菩薩面2、怒った面3、牙を出した面2が残ります。


目が吊り上がったきびしい眼差しです。口元がわずかに下がっているのもその印象を強めます。


プロポーション

八頭身のすらりとした姿が魅力です。しかし、胸は厚くで腰はくびれ、充実した厚みがあります。


衣文

細い襞や太い襞、ふくらみのあるもの鋭いもの。柔らかな衣を写実的に表すために、さまざまな襞がみられます。


天衣

両腕から台座に垂れる天衣の曲線の美しさは他に例をみません。


力を抜いてゆったりとした指の美しさに目をうばわれます。左手も優雅に水瓶を捧げ持ちます。


台座

台座は咲きほこる蓮の花をかたどっています。花弁がひろがった華やかな表現は、天平美術の特徴です。

「神々しい威厳と、人間のものならぬ美しさ」

和辻哲郎『古寺巡礼』

「世の中にこんな美しいものがあるのかと、私はただ茫然とみとれていた。」

白洲正子『十一面観音巡礼』

「それは菩薩の慈悲というよりは、神の威厳を感じさせた。」

土門 拳『古寺巡礼』


聖林寺 国宝 十一面観音菩薩立像とは

十一面観音菩薩は、十一の面であらゆる方向を見渡し、深い慈悲の心で人々を救います。国宝 聖林寺十一面観音菩薩立像は、厳かな顔立ちや均整のとれた体つきなど、その圧倒的な美しさから日本彫刻の最高傑作とされます。かつて大神神社の境内にあった寺に安置されていましたが、明治元年の神仏分離令によって聖林寺に移されました。


美しさの秘密

本像は、主に8世紀後半に用いられた木心乾漆造りという技法でつくられています。木心乾漆造りは、木心の上に木屎漆という漆と木粉の練り物で形をつくる技法で、肉身の微妙な起伏や衣の写実的表現に適しています。


天平彫刻の名品

文化財を守るため1897年(明治30年)に「古社寺保存法」が制定されると、聖林寺の十一面観音菩薩立像は国宝(旧国宝)に指定されました。1950年(昭和25年)には文化財保護法として新制度に移管され、翌年の第一次で選ばれた国宝仏24のひとつとして国宝(新国宝)に指定されました。

三輪山信仰

日本人は古来自然に()(けい)の念を抱き、神が宿る()(しろ)として、山や滝、岩、樹木などを信仰しました。三輪山はその代表的な例で、(おお)(みわ)(じん)(じゃ)には神をまつる本殿はなく、三輪山を御神体として礼拝します。


『古事記』の神話に、(おお)(もの)(ぬしの)(おお)(かみ)(おお)(くに)(ぬしの)(かみ)に、国造りに協力するから「吾をば(やまと)青垣(あおがき)の、東の山の上にいつきまつれ」(私を、大和を囲む青い垣根のように連なる山々の東の山にまつりなさい)と望み、三輪山にまつられたと語られています。三輪山には人々が入ることができない禁足地があり、そこから古代の祭祀を物語る子持勾玉や、造酒に用いる器具の小さな土製模型が出土しており、古くからの信仰の存在を確認できます。


大神神社の由緒には、三輪山の頂上の磐座(いわくら)(神の宿る場所)に大物主大神、中腹の磐座に(おお)己貴(なむちの)(かみ)、麓の磐座には少彦(すくなひこ)名神(なのかみ)が鎮まるとあります。三輪山を御神体とする大神神社拝殿とその奥の禁足地の間には結界として鳥居と瑞垣(みずがき)が設けられています。その鳥居は、一列に3つ組み合わせた独特の形式で「()()(とり)()」といい、中央には扉が付けられています。拝殿がはじめてつくられたのは鎌倉時代のことで、現在の拝殿は寛文4年(1664)徳川家綱が再建したものです。国宝 聖林寺十一面観音菩薩立像をかつて安置していた大御輪寺は、(おお)(たた)()()(じん)(じゃ)(若宮)となっています。

三輪山周辺地図

三輪山

三輪山

奈良盆地の東南部にある神が宿る美しい円錐形の山

山ノ神遺跡出土品

山ノ神遺跡出土品

奈良県桜井市 山ノ神遺跡出土 古墳時代・5~6世紀 東京国立博物館蔵

聖林寺

聖林寺

十一面観音菩薩像をまつる聖林寺は、奈良県桜井市にある真言宗室生寺派の寺院です。山号は(りょう)(おん)(ざん)、本尊は地蔵菩薩で、開基は藤原鎌足の子である(じょう)()とされます。三輪山の山稜や、箸墓(はしはか)など古代大和の古墳が散在する奈良盆地の東半分を望むことができます。