展示構成

第1章

京都―文化財の都市

いにしえの都、京都。現在、全国で1万件をゆうに超える国指定の美術工芸品のうち、およそ6分の1以上が、京都盆地とその周囲に広がる京都府下に伝えられています。本章では、京都と文化財の深い関わりを見つめながら、私たちの「国宝」が生まれ出るまでのあゆみを辿ります。

国宝 御堂関白記 自筆本 寛弘元年上巻(部分)

国宝 御堂関白記 自筆本 寛弘元年上巻(部分)
平安時代(10~11世紀) 京都・陽明文庫 【通期展示<寛弘元年上巻:前期展示、寛弘八年上巻:後期展示>】

昭和26年6月9日指定

平安時代、栄華を極めた藤原道長の日記。我が国の歴史や文化を考える上でかけがえのない存在であり、美術工芸品として、戦後最初の国宝となったものの一つである。世界最古の自筆日記として、2013年にはユネスコ「世界の記憶」に選ばれている。

第2章

京の国宝

文化財保護法の制定から約70年。いにしえより世に名高い名宝から、学術の進歩によって新たに見出されたものまで、今日までに国指定品となった美術工芸品は国宝897件、重要文化財10,808件(令和3年3月段階 ※重要文化財の数は国宝を含む)の多きに上ります。本章では特にその精華ともいうべき、京都の土地や人ゆかりの国宝の数々をご覧いただきます。

国宝 風神雷神図屏風(右隻 部分)

国宝 風神雷神図屏風(右隻 部分)
俵屋宗達筆 江戸時代(17世紀) 京都・建仁寺 【8月24日~9月5日展示 ※展示は2週間のみ】

昭和27年3月29日指定

俵屋宗達の描くこの屏風は琳派、ひいては日本美術のイメージを象徴する作品の一つとして国際的に名高い。京都にある近世絵画のうち、戦後最初に国宝指定を受けたものの一つ。

国宝 宗峰妙超墨蹟「関山」道号

国宝 宗峰妙超墨蹟「関山」道号
鎌倉時代 嘉暦4年(1329) 京都・妙心寺 【前期展示】

昭和27年3月29日指定

たっぷりと大きな文字に、禅僧の揺るがぬ力強い精神が宿る。日本最大の禅寺、妙心寺の根幹をなす書であり、我が国の禅宗文化を代表する至宝。


国宝 二十八部衆立像のうち摩睺羅

国宝 二十八部衆立像のうち摩睺羅
鎌倉時代(13世紀) 京都・妙法院 【通期展示】

昭和30年2月2日指定

国宝の三十三間堂に並ぶ二十八部衆の一体で、あふれる品格と躍動感が印象的である。長大な堂とともに、歴代の権力者たちに保護されながら時代の盛衰を見つめてきた。


国宝 古神宝類のうち籬菊蒔絵手箱

国宝 古神宝類のうち籬菊蒔絵手箱
南北朝時代(14世紀) 和歌山・熊野速玉大社 【通期展示<写真の手箱は前期展示>】

昭和30年6月22日指定

京の天皇家や将軍らがそろって奉納した、最高級の神宝の数々。南北朝時代の比類ない工芸品であり、化粧道具を入れた愛らしい手箱は、当時の雅な生活文化の香りも伝える。


国宝 山科西野山古墓出土品のうち金装大刀

国宝 山科西野山古墓出土品のうち金装大刀
奈良~平安時代(8~9世紀) 京都大学総合博物館 【通期展示】

昭和28年3月31日指定

征夷大将軍、坂上田村麻呂の遺品とされる大刀。金装の輝きが今もまぶしい。平安時代初期の考古遺物。

第3章

皇室の至宝

我が国の文化財保護において、行政とともに非常に大きな役割を果たしてきたのが、京都にゆかり深い皇室でした。明治維新に伴う混乱の中、危機に瀕した東大寺や法隆寺といった古社寺が、その最も重要な伝来品の数々を皇室に献納し、援助を受けながらその姿を今日まで保ったことはよく知られた出来事です。本章では、歴史と文化の守護者である皇室ゆかりの至宝を、特に厳選してご紹介します。

春日権現験記絵 巻二(部分)

春日権現験記絵 巻二(部分)
絵:高階隆兼筆 詞書:鷹司基忠ほか筆 鎌倉時代 延慶2年(1309)頃 東京・宮内庁三の丸尚蔵館 【通期展示<巻二:前期展示、巻七:後期展示>】

鎌倉絵巻の至宝。藤原一門の氏神である奈良の春日社に奉納されたもので、京の公家文化の高みを鮮やかに示す。流出などの受難を経つつも今日、20巻全てがそろって残る。


国宝 七弦琴(法隆寺献納宝物)

国宝 七弦琴(法隆寺献納宝物)
中国・唐時代 開元12年(724) 東京国立博物館 【後期展示】

昭和40年5月29日指定

製作の年と場所が明らかな世界最古の琴として、アジアの音楽史に名高い逸品。法隆寺の伝来品で、皇室の所蔵を経て、現在は東京国立博物館に収められ国宝となっている。

第4章

今日の文化財保護

文化財を後世まで確かに守り伝えるためには、様々な課題があります。本章では京都を中心としつつ、さらに全国にも目を向け、文化財保護に欠かせない様々な取り組みについてご紹介します。

国宝 花下遊楽図屏風

国宝 花下遊楽図屏風
狩野長信筆 桃山時代(17世紀) 東京国立博物館 【9月7日~9月12日展示】 ※展示は1週間のみ

昭和28年3月31日指定

近世初期風俗画の名品として名高いが、修理中であった大正12年9月1日、 関東大震災で右隻の中央部分を失った。災害への備えや対応は、文化財保護にとって常に切実な課題である。


国宝 刀

国宝 刀
金象嵌銘天正十三十二月日江本阿弥磨上之(花押)/所持稲葉勘右衛門尉(名物稲葉江) 鎌倉~南北朝時代(14世紀) 山口・柏原美術館 刀剣撮像=中村 慧 【前期展示】

昭和26年6月9日指定

戦後、最初の国宝指定を受けた名刀。いつしか行方不明となり捜索されていたが、2016年に所在が届けられ、再び世に姿を現した。品々の調査や把握、管理は文化財保護の最も大切な営みの一つである。

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