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2024.4.27

三の丸尚蔵館の名品並ぶ「美が結ぶ 皇室と香川」― 高松で開幕

皇居三の丸尚蔵館名品選「美が結ぶ 皇室と香川」

皇居三の丸尚蔵館(皇居・東御苑)の名品が並ぶ展覧会「美が結ぶ 皇室と香川」(読売新聞社など特別協力)が〔2024年4月〕20日、高松市玉藻町の県立ミュージアムで開幕する。19日には内覧会があり、関係者や一般公募の市民ら約100人が、江戸時代の画家・伊藤若冲じゃくちゅうの作品などを鑑賞した。

宮内庁三の丸尚蔵館は1993年に開館し、皇室が守り伝えてきた約2万点を収蔵。2019年から新施設の建設が進められ、昨年11月の再開館に合わせて「皇居三の丸尚蔵館」と改称し、26年度の全面開館に向けて工事が続いている。

同展では、県ゆかりの品を含む94点を公開。若冲の代表作の一つ「動植綵絵どうしょくさいえ」(国宝)は、30幅のうち「向日葵雄鶏ひまわりゆうけい図」と「芍薬群蝶しゃくやくぐんちょう図」の2幅が並ぶ。

伊藤若冲の「動植綵絵 向日葵雄鶏図」

「向日葵雄鶏図」は、ニワトリが片方の足を上げ、後ろを振り向いた一瞬をとらえた。真っ赤なとさかと、微妙に色合いの異なる茶色で精密に描写した羽が鮮やか。「実際に多数のニワトリを飼い、鋭い観察眼で描いた」と主任専門学芸員の窪美酉嘉子さんは話す。

向かい合うように、若冲が金刀比羅宮(琴平町)に描いた「百花の図」を配置し、「奇想の画家の絶頂期の作品」(窪美さん)を見比べられる。

磯井正美さんの「蒟醤丸盆 曙光」(いずれも高松市で)

昨年9月に亡くなった人間国宝の漆芸家・磯井正美さん(高松市出身)の「蒟醤きんま丸盆 曙光しょこう」は、夜明け頃の光に照らされた松の木を、シルエットで表現した。窪美さんは「シンプルに見えて、非常に高度な技術で作られており、磯井さんにしか生み出せない作品。松の描線もシャープで、蒟醤という技法でなければ出せない」と語る。

5月26日まで。4月22日、5月7、13、20日は休館。観覧料は一般1400円、高校生以下と65歳以上は無料。問い合わせは同ミュージアム(087・822・0002)。

  (2024年4月20日付 読売新聞朝刊より)

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