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2021.12.10

【伝統芸能展特集 vol.2】衣装、演目に合わせ手縫い~「美しさ」生み出す技

歌舞伎の「美しさ」を生み出す要素のひとつが衣装だ。役柄や俳優一人ひとりに合わせた着物を用意し、公演中は着付けも行う。「衣装さん」の仕事場を訪ねた。


歌舞伎の女形の衣装には、あでやかな刺繍が施されているため、小さなほつれを丁寧に直す(東京都中央区の松竹衣裳で)

歌舞伎の公演は、演目が1か月ごとに変わることが多い。演目と配役が決まると「附帳つけちょう」と呼ぶリストが作られる。それに合わせて、伝統的な演目であれば過去の公演を参考に衣装をそろえていく。役者によってサイズが異なるので、「丈を○寸に」「綿を裾に入れる」など微調整を行う。

松竹衣裳いしょう(東京都中央区)縫製課のフロアで、約30人ほどが作業に当たる。演目や役名、着物の名称と作業内容が書かれた「ふだ」に合わせ、手縫いで仕上げていく。

松竹衣裳演劇部の高橋孝子さん
特別展に出展する衣装のチェックが進む。手前は「藤娘」に登場する藤の精の衣装(1月7日~2月13日展示予定)

松竹衣裳演劇部の高橋孝子さんは「役によっては、衣装を新調することもあります。染め、織り、刺繍ししゅうなどたくさんの方との作業になります。なかには廃業されるところもあり、継承の難しさを感じますが、本物を何とか残したいです」と話す。

公演中は、毎日着付けの作業も行う。一人何役もこなす「早替わり」では、「どうすれば一秒でも早く脱ぎ着ができて、きれいに見せられるか」を考え、役者と呼吸を合わせて帯を結ぶ。白粉おしろいなどの汚れを毎日落とし、ほつれたところは手直しする。

特別展では、美しく精緻せいちな歌舞伎衣装を間近に見ることができる。高橋さんは「柄の大きさや大胆さ、色遣いや友禅の筆遣いなどを実際に見て、衣装の持つ力を感じてほしい」と話していた。

(2021年12月8日読売新聞から)

展覧会公式サイトはこちら

ユネスコ無形文化遺産 特別展「体感!日本の伝統芸能-歌舞伎・文楽・能楽・雅楽・組踊の世界-」 (yomiuri.co.jp)

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