2021.12.11

【伝統芸能展特集 vol.3】舞台裏、次代につなぐ技術~文楽人形の職人たち

文楽の舞台裏を支える職人たち。大阪・国立文楽劇場の仕事場を訪ねた。

大阪・国立文楽劇場 かしら担当 村尾愉さん(53)

文楽人形のかしらの手入れについて話す村尾愉さん(大阪市中央区で)
顔色、顔料の配合で調整

文楽人形のかしらは、特殊なものを含めて約80種類。役柄に応じて色を塗り直し、様々な演目で使います。

顔色には白、卵、濃卵こいたまなどがあって、白い顔料「胡粉ごふん」と、赤い顔料「紅殻べんがら」の配合量を変えて調整します。公演ごとに塗り替えますから、20年も使うと二回りもかしらが大きくなるんですよ。内側には目や眉、口を動かす仕掛けがあり、それらを操る糸の点検や修理も欠かせません。

新たにかしらを作るのも重要な仕事です。文楽座のかしらは1945年の大阪大空襲で9割が焼失し、今あるものの大半は、亡き師匠・大江巳之助みのすけさんの作品です。ヒノキをノミや彫刻刀で削って作ります。

常に心がけているのは我を出さないこと。かしらは人形遣いさんが構えて初めて魂が入るものですから。自分が30年間で学んだことを後輩たちに伝え、伝統を守りたいと思っています。

大阪・国立文楽劇場の床山担当 八木千江子さん(38)

文楽人形の髪を結う八木千江子さん(同)
髪形 立役80、女形40種類

文楽の床山は、かづらの製作と結髪を担当します。

まず銅板を切り、金づちでたたいて土台となる「台金だいがね」を作る。台金に穴を開け、人毛やシャグマ(ヤクの毛)を編んだ「蓑毛みのげ」を縫い付けます。前髪、びんなど部分ごとに分かれた鬘を組み合わせ、人形のかしらにびょうで留めます。

基本的な髪形は、立役たちやくで約80種類、女形で約40種類。役の身分や年齢、性格ごとに違います。鬢付け油は使わず、特注のつげぐしで整えながら結い上げます。一つの公演で50ほどの鬘を師匠と2人で受け持ちます。役柄によっては、舞台上でざんばらに髪をほどく「さばき」という演出があり、終演後に毎日結い直します。

伝統芸能の裏方に憧れ、この道に入って13年。捌きのように鬘は感情表現につながるものなので、お客さんの反応があるとうれしいです。一人前になるため、今後も精進していきたい。

(2021年12月8日読売新聞から)

展覧会公式サイトはこちら

ユネスコ無形文化遺産 特別展「体感!日本の伝統芸能-歌舞伎・文楽・能楽・雅楽・組踊の世界-」 (yomiuri.co.jp)

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