2022.1.21

【修理リポート】国宝「阿弥陀聖衆来迎図」修理方針協議…後世の補修を取り除くか検討へ

国宝「阿弥陀聖衆来迎図」(和歌山・有志八幡講蔵) 剥落止め(坂田墨珠堂提供)

紡ぐプロジェクトの2021年度の修理助成対象となった国宝「阿弥陀あみだ聖衆しょうじゅ来迎図らいごうず」(和歌山・有志八幡講蔵)について、作業方針を話し合う会議が2021年11月、大津市の坂田墨珠堂で開かれた。

国宝「阿弥陀聖衆来迎図」を前に修理方針などを協議する関係者(大津市で)

来迎図は3幅合わせて縦約2メートル、横約4メートルに及ぶ平安仏画の傑作で、16世紀に高野山に伝わったとされる。阿弥陀仏の顔の一部などで本紙(本来の絹)が欠失しており、後世に補修絹で繕い、彩色も補われていたことが判明した。

会議では、来迎図を保管する高野山霊宝館や文化庁の担当者らが、補修部位を示す写真を見ながら修理技術者の説明を受けた。

文化財の修理は、傷みの原因となる補修絹を除去し、本紙と似た絹で補うのが基本だが、阿弥陀仏の顔の雰囲気などが変わる可能性があると指摘されたため、今の補修絹を残すことも検討する。

高野山霊宝館学芸員で僧侶の鳥羽正剛さんは「お顔が変わると驚く人もいるだろう。最適な方法を所有者とよく考えたい」と話した。

鳥羽さんらは、かつて高野山周辺で盛んにかれた「高野紙」の活用を提案。坂田墨珠堂の坂田さとこ社長は「高野山の至宝の修理に、高野山の和紙を使うのは意義あること。修理記録などを記す紙に使えそう」と応じていた。

これまでに行われた作業のようすをご紹介します
修理前の調査 (坂田墨珠堂提供)
本紙の周りの表装裂を取り外す(坂田墨珠堂提供)

(2022年1月9日付 読売新聞朝刊より)

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