2021.12.15

【修理リポート】高野山の国宝「阿弥陀聖衆来迎図」 5年かけ絵の具など安定へ 

絹本著色阿弥陀聖衆来迎図の状態を確認する高野山霊宝館学芸員の鳥羽正剛さんら(和歌山県高野町で)

2021年度の修理助成事業の対象となった国宝「絹本けんぽん著色ちゃくしょく阿弥陀あみだ聖衆しょうじゅ来迎図らいごうず」(有志八幡講所蔵)が6月14日、保管する高野山霊宝館(和歌山県高野町)から、大津市の坂田墨珠堂に運ばれた。約5年間かけて絵の具や構造の安定化などを進める。

来迎図は3幅合わせて縦約2メートル、横約4メートルに及ぶ平安仏画の傑作で、阿弥陀仏が往生者を迎えに来る様子が描かれている。中央で光り輝く金色の阿弥陀仏に対し、周囲では乳白色の肌の菩薩ぼさつたちが楽しげに楽器を演奏したり、歯を見せて笑っていたりと、親しみ深い姿を見せているのも特徴だ。

詳しい制作年代はわかっていない。皇族が描かせたとの説もあり、16世紀には高野山へ伝わっていたとされる。

坂田墨珠堂の坂田さとこ社長らは、霊宝館の収蔵庫にあった来迎図を慎重に広げ、ペンライトで照らしながら傷み具合を丹念に調査。裏打紙の接着力の低下や絵の具の剥離、表面の汚れが確認された。今後は裏打紙を取り除いて絹だけの状態とし、新しい裏打紙を重ねて修理を施すという。

坂田社長は「国宝の持つ表現、色彩は平安時代から現在まで多くの人に守られ、大切に受け継がれてきたもの。それを崩すことなく、我々が持つ全ての技術を尽くして保存性を高めたい」と語った。

搬出時には、霊宝館の学芸員で僧侶の鳥羽正剛さん(53)が般若心経などを唱えて送り出した。鳥羽さんは「高野山の宝をこれからもより長く後世に残していくために、多くの方のお力添えをいただいた。5年後に戻ってきたら、みなさんにお披露目したい」と話した。

(2021年8月22日付読売新聞朝刊より)

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