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2020.6.24

重要文化財「板絵著色神像」(京都・宝積寺)修理所へ

「板絵著色神像」の状態を確認する修理技術者ら(京都市東山区で)=土屋功撮影

文化庁、宮内庁、読売新聞社が推進する「紡ぐプロジェクト」の今年度の文化財修理助成事業で、対象となった宝積寺ほうしゃくじ(京都府大山崎町)所蔵の重要文化財「板絵いたえ著色ちゃくしょく神像」(1286年)が22日、京都国立博物館(京都市東山区)の修理作業施設に搬入された。

鎌倉時代後期の神像が複数描かれた貴重な板絵。現存するのは4面で、同博物館に寄託されている。筆者は不詳だが、格の高い尊像表現から専門絵師が手がけたとみられている。

板の割れやゆがみのほか、絵の具層の剥離はくり剥落はくらくが見られるため、修理では表面の汚れを柔らかい筆やはけで取り除き、にかわなどを使って絵の具層の剥落を止め、強化する。

この日は4面のうち2面が収蔵庫から修理作業施設のテーブルに運び出され、修理担当者らが修理が必要な部分に光を当てながら、状態を確認していた。作業を見守った宝積寺の寺石亮尚住職は「修理によって、後世に残していただけるのはありがたい」と話した。

(読売新聞京都総局 道念祐二、撮影 土屋功)

2020年6月23日付読売新聞から掲載

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