日本美を守り伝える「紡ぐプロジェクト」公式サイト

2024.9.13

一度は見たい 国宝・名宝!?展 
~高精細複製品で実現 キセキの名品選~ 

Supported by キヤノン

宗達も光琳も…先端技術&伝統の技で「まるで本物」の複製名画が間近に

琳派の至宝とされる「風神雷神図屏風」(俵屋宗達筆、国宝)、水墨画による表現の可能性を極限まで追究した「松林図屏風」(長谷川等伯筆、国宝)、そして、海外に渡って門外不出となった「群鶴図屏風」(尾形光琳筆)……。  

こうした日本美術を代表する作品の高精細な複製品を一堂に展示する「一度は見たい 国宝・名宝!?展~高精細複製品で実現 キセキの名品選~」(主催:岡山シティミュージアム・テレビせとうち)が 10月20日まで、岡山市の岡山シティミュージアムで開かれている。

展示されるのはキヤノンの先進のイメージング技術と京都の伝統工芸の技が融合した高精細な複製品である。プロでも原本との見分けがつかないほどの出来映えで、美術ファンにとっては文字通り「キセキの企画」。しかも、オリジナルではガラス越しにしか眺めることのできない貴重な作品を仕切りなしでじっくりと鑑賞できる。日本美術の傑作を気軽に堪能できるまたとない機会だ。

オリジナルを忠実に再現した高精細複製品を間近で観られる

今展は、キヤノンと京都文化協会が2007年から共同で行っている「つづりプロジェクト(正式名称:文化財未来継承プロジェクト)」の協力により実現した。綴プロジェクトは日本の貴重な文化財の高精細複製品を制作し、有効活用することで、より多くの人に日本の文化財に親しむ機会を提供することを目的としている。これまでも美術館や学校教育の現場などでこうした高精細複製品を展示・活用し、美術ファンや研究者の間で高く評価されてきた。綴プロジェクトの作品を活用した大がかりな展示が岡山で行われるのは、今回が初めてとなる。

展示は「海外に渡った日本の文化財」と「国内にある国宝・名宝」の2つのコーナーに分かれ、計15点の高精細複製品を紹介。俵屋宗達、尾形光琳、狩野永徳、伊藤若冲、葛飾北斎など、日本美術の巨匠たちの描いた名品を原本としており、作品保護のためのガラスケースなどに遮られることなく、いずれも間近から鑑賞することができる。作品への負担を抑えるために照明を暗くするなどの展示上の制約もない。

「群鶴図屏風」高精細複製品
(原本:尾形光琳 筆、スミソニアン国立アジア美術館 所蔵)
Ogata Korin / National Museum of Asian Art, Smithsonian Institution,Freer Collection, Purchase — Charles Lang Freer Endowment, F1956.20-21

「樹花鳥獣図屏風」高精細複製品
(原本:伊藤若冲 筆、 静岡県立美術館 所蔵)

美術の教科書でおなじみの作品が数多く展示され、中でも見逃せないのが、スミソニアン国立アジア美術館が所蔵する名宝たち。同館はアメリカの首都ワシントンDCにあり、日本を含むアジアの古美術品を中心に展示している。そこでは宗達筆の「松島図屏風」や「雲龍図屏風」など「国宝級」の名品を所蔵しているが、設立者の意向で、国立アジア美術館以外での作品展示を禁じている。そのため、現物を観るためには現地に赴かなくてはならない。今展では、高精細複製品となって「里帰り」したそれらの作品を目の前で観ることができる。

「松島図屏風」高精細複製品
(原本:俵屋宗達 筆、スミソニアン国立アジア美術館 所蔵)
Tawaraya Sotatsu / National Museum of Asian Art, Smithsonian Institution,Freer Collection, Gift of Charles Lang Freer, F1906.231-232

また、「風神雷神図屏風」や「松林図屏風」では、作品に描かれた世界を音と映像で楽しめるプロジェクションマッピングを実施。複製品だからできる鑑賞体験を楽しめる。さらに、期間中は、さまざまなワークショップやギャラリートークなども企画されている。

プロジェクションマッピングによる演出によって作品はより一層壮大に 

こうした高精細な複製品の制作は、先端のイメージング技術と伝統工芸の技が融合することで可能となった。まず、原本をキヤノンのデジタルカメラと、専用に開発した制御システムにより多分割撮影することで高精細なデジタルデータを取得。同社が独自に開発した高精度なカラーマッチングシステムで原本との色合わせを行った上で、大判のプリンターで出力する。

和紙だけでなくプリントが難しいとされてきた絹本けんぽんにも出力することができる。それらに金箔や金泥などを京都西陣の伝統工芸士が原本に忠実に施していく。表装や表具も文化財の修復に携わる伝統工芸士が担当。こうすることで本物と見間違うばかりの迫力ある複製品ができあがる。

高いイメージング技術と伝統工芸の技が融合                        

ドイツの思想家ヴァルター・ベンヤミンは20世紀前半、芸術作品を大量に複製できる時代になって、原本に宿っていた「アウラ(オーラ)」が消失することを指摘した。しかし、綴プロジェクトによる複製品からは原本に劣らない迫力を感じることができる。「アウラ」についての概念も21世紀のデジタル時代にふさわしいアップデートが求められる時なのかもしれない。そのことを会場で実感したい。まさに「一見に如かず」の企画展だ。

開催概要

日程

2024.9.13〜2024.10.20

会場

岡山シティミュージアム4階企画展示室

JR岡山駅東西連絡通路から直結

料金

(前売券)大人800円
(当日券)大人1000円、高校・大学・専門学校生800円 ※中学生以下は無料

休館日

9/17(火)・9/24(火)・9/30(月)・10/7(月)・10/15(火)

開館時間

午前10時~午後6時

最終入場は午後5時30分まで

お問い合わせ

岡山シティミュージアム TEL: 086-898-3000 ※休館日を除く
またはHP(https://www.city.okayama.jp/okayama-city-museum/)を参照

お問い合わせへの対応は展覧会に関することのみとなります

Share

0%