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2021.12.21

坂東玉三郎さんが4年半ぶりに博多座で舞踊公演―「大きい舞台ならではの演目を」

福岡市博多区の博多座で2022年2月2日~19日、「坂東玉三郎 特別舞踊公演」が開かれる。博多座には4年半ぶり7回目の出演。コロナ禍が続く中、「現実で起こっている苦しいことを、時間と空間を区切って、開演中だけは忘れていただけるよう全力を尽くしたい」と抱負を述べた。(事業局専門委員 田中聡)

博多座で2月に舞踊公演を行う坂東玉三郎さん
印象に残る公演が多い博多座

博多座での舞踊公演は2017年9月、太鼓芸能集団「鼓童」と共演した『幽玄』以来の玉三郎さん。「『幽玄』はもちろん、泉鏡花先生の『高野聖』や通しで上演した『三人吉三』など、博多座では記憶に残っている公演が多いですね」と話す。(舞台上下の)大臣柱の位置を少し調整すれば、「歌舞伎座と同じ感じで道具が飾れる」という大型の劇場の博多座。「大きい劇場ならではの演目を」と考えて選んだのが、今回の演目の『日本日本振袖始ふりそではじめ』だ。

日本神話の「八岐大蛇やまたのおろち退治」に題材を取ったこの作品。玉三郎さんが演じる岩長姫は大蛇の化身。その分身と一体となって素戔嗚尊すさのおのみことと繰り広げる立ち回りが大きな見どころとなる。

「昨年12月、久々に歌舞伎座でらせていただいて、今年8月には南座でも演らせていただきました。どちらも好評でしたし、博多座の方からも『ぜひ』ということだったので。後ジテの華やかなものが今のお客様には喜んでいただけるようですね」

華やかな舞台衣裳の紹介も 屏風も制作中!

もう一つの演目 『鶴亀』 は、唐代の宮廷で行われていた新年の儀式を題材にした能楽作品をもとに、歌舞伎舞踊だ。さらに幕開けの『口上』では、華やかな舞台衣裳の紹介もある。今年1月の松竹座での舞踊公演から恒例となっているものだ。

「松竹座、南座、御園座で、それぞれ違う衣裳をお見せしたので、もうお見せできるものがなくなって」と笑いながら、「『吉田屋』の夕霧の打掛を、雪持ち柳に鷺の意匠で作っているところ」という。口上で背景に使う琳派風の屏風も制作中で、「さらに目新しいものをお目にかけられないか」と考えているそうだ。

「博多は海のものがおいしいところ。(公演期間中)2日休みがあるので、楽しみにしてますよ」と笑いながら話した。

公演の詳細は博多座のホームページ(https://www.hakataza.co.jp/)で。

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