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2023.3.8

気鋭の工芸作家の技 発信 ―「東京クリエイティブサロン」 都内6か所で

「東京クリエイティブサロン2023」が〔3月〕17日から、東京都内6か所で始まる。伝統の技を生かしたアート作品の展示やファッションショーなど多彩なイベントで、日本のデザインやアート、工芸を世界に発信する。

「東京クリエイティブサロン」は2020年から開かれ今年で4回目。丸の内・有楽町、日本橋、銀座、渋谷、原宿、羽田の6会場で、アート作品の展示やファッションイベント、フリーマーケットなどを行う。

日本橋エリアのコレド室町テラス大屋根広場では、伝統の技をもとに新たな作品を生み出す気鋭の工芸作家を紹介する「読売伝統工芸市」が開かれる。

自宅の工房で黒漆を蓋に塗る佐々木岳人さん

漆芸作家の佐々木岳人さん(39)の作品は、一見すると、金属や革製に見える箱、香合などを、すべて漆で作る。だまし絵ならぬ“だまし漆器”だ。

東京芸大で漆芸を学び、江戸から明治にかけて漆芸作品に用いられた技にかれたという。「こんなものも漆で、と驚きました。技量は当時のレベルに及びませんが、現代ならではのアイデアで勝負したい」と話す。

佐々木岳人「Deja Vu」
撮影:松野誠

出品作の「Deja Vu」は、麻の布を何重にも漆で重ねて形を作る「乾漆かんしつ技法」でつくった箱。革の質感を漆の技法で表現し、ファスナーに見える部分は蒔絵まきえで描いている。

このほか、陶芸家の植葉香澄さん(44)は、ギリシャ神話に登場する複合動物「キメラ」をかたどり、精密な吉祥文様を描いた香炉を披露する。金工の坪島悠貴さん(35)は、形が変わる「可変金物」の根付け、漆工の藤田なごみさん(28)はガラスと漆を組み合わせた酒器を展示する。

植葉香澄「morph(駱駝)」
坪島悠貴「可変饅頭根付・丑」
藤田和「潮彩」

読売伝統工芸市は17日から31日まで。販売は金・土・日曜、祝日。

◇東京クリエイティブサロン2023

◆会期 〔2023年〕3月17~31日
◆会場
 ・日本橋エリア コレド室町テラスなど
 ・丸の内・有楽町エリア 丸の内仲通り、丸ビルなど
 ・渋谷エリア 渋谷ヒカリエなど
 ・原宿エリア ラフォーレ原宿など
 ・銀座エリア 松屋銀座、銀座三越、和光、東急プラザ銀座など
 ・羽田エリア 羽田空港第1、第2、第3ターミナルなど
◆ホームページ
https://tokyo-creativesalon.com/

(2023年3月5日付 読売新聞朝刊より)

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