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2023.5.1

特別展に合わせ明兆の「大涅槃図」を公開…京都・東福寺で5月7日まで

修理を終え本堂に掛けられた「大涅槃図」(2023年3月1日)=河村道浩撮影

画聖と称された絵仏師・吉山きっさん明兆みんちょう(1352-1431年)による東福寺(京都市東山区)の「大涅槃ねはん図」が、特別展「東福寺」の開催に合わせ、お寺の本堂(仏殿兼法堂)で特別公開されている。

大涅槃図は、東福寺で毎年3月15日に行われる「涅槃会」の本尊として、1408年(室町時代、応永15年)、当時57歳の明兆によって描かれた。縦11.2メートル、横6.0メートルの画面には、右脇を下にして横たわる釈迦と、その周りに、臨終を嘆き悲しむ菩薩や信者ら、また、白いゾウ、獅子、トラ、ヒョウ、水牛、サルなど多くの動物たちも描かれている。

明兆の涅槃図では、通常あまり描かれることのないネコの姿もある。明兆が筆をとっているとき、そばを離れようとしなかったネコを描いたと伝わっている。また掛け軸では金襴などの裂が表具に用いられるのが一般的だが、この絵はいわゆる「描表装かきびょうそう」で、紅白のボタンの花などが描かれている。下向きの「泣き牡丹」で、悲嘆する様子が表現されているという。

白い象の足元にネコが描かれている

大涅槃図は、2019年からおよそ100年ぶりの修理が進められ、2023年2月に完成した。絵の具の剥落止めや、本紙の裏側を支える裏打ち紙の交換などを行ったほか、安全に掛けるため軽量化も図った。もとは124キロ・グラムもあり、自重で画面の上の端がほつれてきていたが、カーボン製の軸を用いるなどして76キロ・グラムまで減らすことができたという。

例年、涅槃会に合わせた3月14日から16日までの3日間しか公開していないが、今年は、特別展の開催に合わせ、期間限定で特別に公開している。春は5月7日まで。京都国立博物館での特別展(10月7日~12月3日)に合わせ、11月11日から12月3日にも特別公開が予定されている。拝観料1000円。

修理後の状態を確認する関係者ら。背丈から絵の大きさもうかがえる

スケールを体感! 特別展の会場では一部を複製して紹介しています

特別展の会場では、展示室の高さが足りず「大涅槃図」の実物が展示できなかったため、一部を原寸大で複製して紹介しています。東京国立博物館の特別展「東福寺」は5月7日までです。

修理を終え、本堂に掛けられた「大涅槃図」を取材しました

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