画聖と称された絵仏師・
大涅槃図は、東福寺で毎年3月15日に行われる「涅槃会」の本尊として、1408年(室町時代、応永15年)、当時57歳の明兆によって描かれた。縦11.2メートル、横6.0メートルの画面には、右脇を下にして横たわる釈迦と、その周りに、臨終を嘆き悲しむ菩薩や信者ら、また、白いゾウ、獅子、トラ、ヒョウ、水牛、サルなど多くの動物たちも描かれている。
明兆の涅槃図では、通常あまり描かれることのないネコの姿もある。明兆が筆をとっているとき、そばを離れようとしなかったネコを描いたと伝わっている。また掛け軸では金襴などの裂が表具に用いられるのが一般的だが、この絵はいわゆる「
大涅槃図は、2019年からおよそ100年ぶりの修理が進められ、2023年2月に完成した。絵の具の剥落止めや、本紙の裏側を支える裏打ち紙の交換などを行ったほか、安全に掛けるため軽量化も図った。もとは124キロ・グラムもあり、自重で画面の上の端がほつれてきていたが、カーボン製の軸を用いるなどして76キロ・グラムまで減らすことができたという。
例年、涅槃会に合わせた3月14日から16日までの3日間しか公開していないが、今年は、特別展の開催に合わせ、期間限定で特別に公開している。春は5月7日まで。京都国立博物館での特別展(10月7日~12月3日)に合わせ、11月11日から12月3日にも特別公開が予定されている。拝観料1000円。
特別展の会場では、展示室の高さが足りず「大涅槃図」の実物が展示できなかったため、一部を原寸大で複製して紹介しています。東京国立博物館の特別展「東福寺」は5月7日までです。
0%