沖縄復帰50年記念の特別展「琉球」に合わせ、沖縄を代表する工芸のひとつ「琉球漆芸」の体験ワークショップが5月29日、会場の東京国立博物館(東京・上野公園)で開かれた。
中国をはじめとするアジアの国々や、江戸幕府などとの交易で栄えた琉球王国では、漆器は輸出品、献上品として重用され、王府の管理のもとで製作されていた。黒地にヤコウガイの貝殻が光り輝く「
ワークショップでは、このうち「沈金」を体験した。午前10時半からの会は親子向けで、事前申し込みで当選した10組が集まった。
講師役の前田貴子さん、前田春城さん(沖縄県豊見城市)は、漆工品の製作のほか、首里城正殿の漆の塗り直しにも参加。沖縄戦で失われた文化財を復元する「琉球王国文化遺産集積・再興事業」にも携わり、いにしえの技を今に取り戻し、次代に伝える取り組みにも力を入れている。
参加者はまず琉球漆芸の歴史について学んだあと、実際に漆を塗った板に、カーボン紙を使って図案を写し、それを「ニードル」と呼ばれる道具で彫り進めた。その溝に漆を塗り、金箔を重ねて塗ることで模様が描き出される。参加した子どもたちは、お気に入りのぬいぐるみや動物、沖縄にちなんだシーサーや首里城など、オリジナルの図案を用意し、自分だけの作品に仕上げていた。
「漆は高温多湿な環境で乾いて安定します。1か月から2か月ほどたてば、あとは普通の食器のようにスポンジで洗っても大丈夫。古い漆器が残っているように、100年だってもちますよ」と春城さん。
子どもたちは「楽しかった」「昔から続いている技を体験できてうれしい」「もっと沖縄のことを調べて夏の自由研究に仕上げたい」と話していた。
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