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2022.8.23

沖縄復帰50年記念特別展「琉球」(九州会場)より<2>立体感と彩色、漆芸の粋…「黒漆首里那覇港図堆錦螺鈿衝立」

「黒漆首里那覇港図堆錦螺鈿衝立(ついきんらでんついたて)」首里(中山門)
 昭和3年(1928年) 鹿児島県歴史・美術センター黎明(れいめい)館蔵

昭和3年11月の昭和天皇即位を祝す御大典礼に合わせて、沖縄県から献上された衝立である。

制作は沖縄県工業指導所のもと名工で知られた友寄ともよせ英茂ひでしげが中心となり、日本画の巨匠、比嘉ひが華山かざんが原画を、宮大工の玉城たましろサンルーが木地を、友寄の弟子の亀島かめしま汝翼じょよくらが加飾かしょくを担った。

琉球漆芸の特色の一つである堆錦ついきんは、彩漆いろうるしの塊を薄く延ばして文様の形に切り、貼りつける技法だが、この衝立の堆錦は立体的で、所々に彩色も施した入念なものである。とりわけ中山門の左右に描かれる椰子やしやリュウゼツラン、ガジュマル、デイゴなどの植物の生き生きとした表現は見事で、作者たちの並々ならぬ気迫が伝わってくる。

ぜひ会場で、この強烈な存在感を放つ作品をじっくりご覧いただきたい。

(九州国立博物館企画課特別展室長・川畑憲子)

沖縄復帰50年記念 特別展「琉球」(読売新聞社など主催)は、太宰府市石坂の九州国立博物館で9月4日まで開催中。問い合わせはハローダイヤル(050・5542・8600)へ。

出品リストやチケット情報は公式サイトでチェック! https://tsumugu.yomiuri.co.jp/ryukyu2022/

もっと知りたい 特別展「琉球」

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