2022.3.3

特別展「最澄と天台宗のすべて」より<5>徳川幕府と浅からぬつながり…重要文化財「天海版一切経木活字」(東京・寛永寺蔵)

重要文化財「天海版一切経木活字」(東京・寛永寺蔵)

一切経とは仏教の聖典で、総数およそ6千巻。中世にはすべての刊行は実現せず、中国大陸や朝鮮半島の舶来一切経が珍重されました。

そんな中、17世紀についに日本初の印刷一切経、天海版一切経5771じょうが完成します。木製活字でこれほどの規模の刊行を成し遂げた事業は、日本史上、ほかに類を見ません。

何しろ一切経はあまりにも膨大。たとえば冒頭に収められた「大般若経」(全600巻)だけでも、文字数は約500万。活字を彫り、並べて版を作り、並べ替えて別の版を作り、印刷後には校正。さぞかし骨の折れたことでしょう。

この一大事業を主導したのは天台宗の僧侶天海。徳川家康に見出みいだされ、織田信長に焼き討ちされた延暦寺の復興事業を推進した、やり手の人物です。事業のスポンサーは3代将軍家光。天台宗と徳川幕府との浅からぬつながりにもご注目ください。

(九州国立博物館・博物館科学課アソシエイトフェロー・瓜生翠、おわり)

特別展「最澄と天台宗のすべて」(読売新聞社など主催)は、太宰府市石坂の九州国立博物館で3月21日まで開催中(期間中、一部で展示替えがある)。問い合わせはハローダイヤル(050・5542・8600)へ。

出品リストやチケット情報は公式サイトでチェックしてください! https://tsumugu.yomiuri.co.jp/saicho2021-2022/

もっと知りたい「最澄と天台宗のすべて」

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