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2022.3.1

特別展「最澄と天台宗のすべて」より<4>性空の相貌そのままに…重要文化財「性空上人坐像」(兵庫・円教寺蔵)

山は神と仏が巡り合う聖域で、僧侶たちはそこに分け入って神仏と人をつなぐ役割を果たしました。天台宗では最澄以来、山での修行が重んじられ、弟子たちも比叡山下山後に各地の霊山を巡り、天台のネットワークを広めました。

その代表的な人物が性空しょうくう(?~1007年)です。性空は京の貴族の生まれですが、九州の霧島山や脊振山で「法華経」を読誦どくしょうする修行に明け暮れ、のちに姫路に赴き、書写山に円教えんぎょう寺を開きました。

この像は、没後すぐに造られた性空像が鎌倉時代に焼けてなくなったため、仏師慶快が手掛けた再興像で、高々と盛り上がった頭部に眼尻めじりり上げた鋭い眼差まなざしは、性空の相貌そうぼうをそのままに伝えています。

今回の展示の前にX線CT調査を行い、遺骨の安置状態を詳細に見ることができました。

重要文化財「性空上人坐像」 左側面像内(CTデータ)=九州国立博物館提供

性空像が九州に上陸するのは初めてのことで、約1050年ぶりに性空上人が九州の地にお戻りになったことになります。

(九州国立博物館企画課研究員・大澤信)

特別展「最澄と天台宗のすべて」(読売新聞社など主催)は、太宰府市石坂の九州国立博物館で3月21日まで開催中(期間中、一部で展示替えがある)。問い合わせはハローダイヤル(050・5542・8600)へ。

出品リストやチケット情報は公式サイトでチェックしてください! https://tsumugu.yomiuri.co.jp/saicho2021-2022/

もっと知りたい「最澄と天台宗のすべて」

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