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2022.3.10

【文化財継承の現場vol.3】修理前には最先端の調査も…九州国立博物館

国立博物館に備えられた修理施設を紹介するシリーズです。適切な修理を施すためには、どのような素材が使われているのか、どのように作られているのかなど、事前の調査が欠かせません。第3回は、国内で最初に文化財用のCT撮影機器を導入した九州国立博物館を紹介します。

科学的な解析は文化財の「健康診断」
撮影のため文化財専用の大型X線CTスキャン装置にセットされる菩薩遊戯坐像(ぼさつゆげざそう、愛媛・等妙寺蔵)(福岡県太宰府市の九州国立博物館で)=中嶋基樹撮影

文化財の修復には、先端の科学技術も利用されている。

九州国立博物館(福岡県太宰府市)は、全国に先駆けて、文化財専用の大型X線CTスキャン装置を導入した。仏像などの断面をあらゆる角度から撮影することによって内部の画像を立体的にとらえることができ、損傷状況や制作時の技法、過去の修理の履歴まで細密に把握できる。

「菩薩遊戯坐像(伝如意輪観音)」(愛媛県・等妙寺蔵)
等妙寺・菩薩遊戯坐像のX線CTスキャン画像。首の部分に五輪塔の形が見える(福岡県太宰府市の九州国立博物館で)

同館の大澤信研究員(仏教彫刻史)は、こうした科学的な解析を文化財の健康診断にたとえる。

「かつては解体しなければ分からなかった内部が詳細に把握できるようになり、どう修理や保存処理を行うべきか、効果的な対策が立てられるようになりました」

これまで同館では天平美術を代表する奈良・興福寺の阿修羅像や、鎌倉時代の元寇でモンゴル軍が使用した武器「てつはう」なども調査、詳細な内部構造を明らかにしている。 

(2022年2月17日付 読売新聞朝刊より)

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