「染分地遠山松竹梅文様紅型木綿衣裳」(そめわけじ とおやま しょうちくばいもんよう びんがた もめんいしょう) 第二尚氏時代・19世紀 沖縄県立博物館・美術館蔵
大和の桜や松竹梅、それに中国の波濤を織り交ぜた大胆で独特のデザイン。そのおおらかさがとても心地よく、大和にはない色合いだ。大和と中国のちょうど中間にあるようなデザインで、まさに琉球を象徴しているようだ。早くから異文化交流が盛んで、文化的知識に長けていたことがわかる。
「黒漆葡萄栗鼠螺鈿箙」(5月末に展示終了)は矢を入れる箱形の武具だが、宮本武蔵が「武道を律する」と読み替えた「葡萄と栗鼠」が表されている点が興味深い。果たして、武蔵とのつながりがあったのか、想像を駆り立てられる。
一方、絵画は中国を手本にしたものが多かった。もしかすると、工芸や衣裳のように琉球独自の発展や開花を遂げたものがあったのに、失われてしまったのかもしれない。絵を描くものとしては、そんなことも空想してしまう。
(片岡鶴太郎 俳優)
東京会場は6月26日まで! 7月16日から九州国立博物館に巡回します
特別展「琉球」は、東京国立博物館(台東区上野公園)で6月26日まで。詳しくはホームページ(https://tsumugu.yomiuri.co.jp/ryukyu2022/)で。
もっと知りたい 特別展「琉球」