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2022.8.24

沖縄復帰50年記念特別展「琉球」(九州会場)より<3>王家の黄色、格式の紅型…国宝「黄色地鳳凰蝙蝠宝尽青海波立波文様紅型綾袷衣裳」

国宝「黄色地鳳凰蝙蝠宝尽青海波立波文様紅型綾袷衣裳」(琉球国王尚家関係資料)
第二尚氏時代(18~19世紀) 那覇市歴史博物館蔵

この紅型びんがたは琉球国王の尚家に伝わった。王家にのみ許された地色の黄と、肩に大きく表された鳳凰ほうおう、鮮やかな裾文様が目を引く。

裾文様は「海水江崖」という清代の官服に多く用いられた中国由来の文様。また、鳳凰文も中国では皇帝の龍と対になる文様として皇后が用いたものだ。本作は中国の皇后の衣裳を紅型で表そうとしたような、格式の高いものと言える。

他にも中国風の吉祥文様が散らされる一方、花の折枝や楓、七枚笹しちまいざさ文など、大和(日本)由来の文様も交じる。また、仕立ては袖口が涼やかに大きく開き、外側に返した襟の色が鮮やかな琉球らしい仕様である。

紅型の技法は、アジア諸国との文化的交流の中で成立したと考えられる。この衣裳からは、中国や日本をはじめ、広くアジアと関わりを持った海洋王国琉球の姿が見えるのである。

(九州国立博物館企画課研究員・桑原有寿子、おわり)

沖縄復帰50年記念 特別展「琉球」(読売新聞社など主催)は、太宰府市石坂の九州国立博物館で9月4日まで開催中。問い合わせはハローダイヤル(050・5542・8600)へ。

出品リストやチケット情報は公式サイトでチェック! https://tsumugu.yomiuri.co.jp/ryukyu2022/

もっと知りたい 特別展「琉球」

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