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2020.3.11

【いざ日本博vol.3】能楽師・観世清和さん 「やまとごころ」舞う

「日本博」オープニング記念公演出演者への連続インタビュー第3回は、能楽師の観世清和さんが登場。観世さんはセレモニーで「羽衣」を披露する。

人間そのものを表現

私の先祖、世阿弥は『風姿花伝』の中で「寿福増長」という言葉を残しました。能を謡ったり、舞ったりすることで皆様に幸せの基を感じていただき、寿命を伸ばす、という意味です。その気持ちを大切にしながら、人間そのものを表現したいと思っています。

セレモニーでは「羽衣」を舞います。漁師の白竜はくりょうは三保の松原で見つけた美しい衣を持ち主の天人に返す。天人は舞で感謝を表し、天上へ帰って行く。見た目にも美しい能ですが、日本人のアイデンティティーとも言うべき「やまとごころ」を感じていただけると思います。

能には和歌の世界からつながる、柔らかくてしなやか、素朴で清楚せいそな心情が映し出されています。

能は「忍耐の芸術」
日本博オープニングセレモニーの制作発表に出席した観世清和さん(左)と尾上菊之助さん(東京都渋谷区の国立能楽堂で)

文楽、歌舞伎、雅楽などの方々と舞台でご一緒できるのは意義深いことです。日本の古典文化はきょうだいで、ちょっとしたズレやひずみを楽しむ側面がある。

例えば、能は忍耐の芸術です。演じる側は内面的に抑制され、そのぶん突き抜けるエネルギーが働き、カタルシスが生まれる。そのひずみが芸能の奥深さにつながります。

今回を契機として、多くの方に古典に触れていただければと思います。

1959年、東京生まれ。能楽シテ方観世流二十六世宗家。現在の能楽界を先導する一人で、海外公演にも積極的に取り組んでいる。

※(おことわり)文化庁は10日、日本博オープニング記念公演の生放送でのテレビ中継を中止すると発表しました。当日予定していた実演はスタッフのみで収録し、後日発信するとしています。今後の予定については、わかり次第このサイトでもお知らせします。

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