浄瑠璃寺(京都府木津川市)が所蔵する国宝「木造阿弥陀如来坐像」(九体阿弥陀)のうち、2021年度に行われた第4仏、第7仏の修理が終了した。6月29日に奈良国立博物館(奈良市)から国宝の本堂に搬入され、翌30日には22年度の対象となる第1仏、第8仏が搬出された。修理は18年度から5か年計画で進めており、来春には9体全ての修理が完了する。
木造阿弥陀如来坐像は、平安時代に貴族の間で流行した浄土信仰を伝える。最も大きな「中尊」(高さ約2・2メートル)の左右に4体ずつ並ぶ形で、本堂に安置されている。
担当した美術院(京都市下京区)によると、第4、7仏は表面層の漆箔が、ほぼ全身で下地から浮き上がっており、剥落止めを施した。光背は明治期の修理部分で退色が目立つため修整した。
今後、修理される第1、8仏も剥落止めなどを施す予定で、橋本麿嗣・主任技師は「9体とも寄せ木の仕方だけでなく、傷み具合も異なる。丁寧な修理を心がけたい」と話した。
浄瑠璃寺の佐伯功勝住職(61)は「あっという間に5年目となり、いよいよ最後の2体となった。9体そろう日が待ち遠しい」と、笑みを見せた。
(2022年8月12日付 読売新聞朝刊より)
国宝「木造阿弥陀如来坐像」(九体阿弥陀) 中尊の110年ぶりの修理に密着しました