日本美を守り伝える「紡ぐプロジェクト」公式サイト

2020.6.27

国宝「木造阿弥陀如来坐像(九体阿弥陀)」(京都・浄瑠璃寺) 中尊を110年ぶりの修理へ搬出

紙やさらしを巻き付けて保護し、搬送準備が整えられる国宝「木造阿弥陀如来坐像」の「中尊」(25日、京都府木津川市の浄瑠璃寺で)=長沖真未撮影

文化庁、宮内庁、読売新聞社による「紡ぐプロジェクト」の今年度の文化財修理助成事業で、対象となった浄瑠璃寺(京都府木津川市)所蔵の国宝「木造阿弥陀あみだ如来にょらい坐像ざぞう」(九体阿弥陀)のうち、「中尊」(高さ2.2メートル)を奈良国立博物館(奈良市)内の修理施設に搬送するための準備作業が25日、同寺で行われた。

「木造阿弥陀如来坐像」は本堂に安置された9体の仏像で、平安時代の浄土信仰を伝える。修理は約110年ぶりで、今年度は最も大きな「中尊」に着手する。漆箔しっぱくが浮き上がった箇所を固定する作業などが実施される。

この日は、修理を担当する「美術院」の修理技術者らが像を薄い紙やさらしで覆い、慎重に持ち上げて台座から下ろした。26日に搬送される。

浄瑠璃寺の佐伯功勝こうしょう住職は「地域で長く親しまれてきた阿弥陀様。包容力のある穏やかな姿を100年後まで伝えていきたい」と話した。

(読売新聞文化部 藤本幸大、撮影は読売新聞写真部 長沖真未)

2020年6月26日付読売新聞から掲載

迫力の作業 動画やツイッターで

紡ぐプロジェクト公式Twitterでは、2日間にわたる搬出の様子をリポートしています。

修理技術者らが、今回の搬出用に特別に作成した担架、足場から仏様を「せーの!」の掛け声に合わせて下ろす様子など、丁寧に、慎重に進められた作業のすべてがご覧いただけるのはここだけです。ぜひチェックしてください。境内ではネコたちも迎えてくれました。(紡ぐプロジェクト事務局)

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