2022.7.26

【修理リポート】京都・乙訓寺の重要文化財「毘沙門天立像」…90年ぶりの修理へ

丁寧に梱包作業が進められる「毘沙門天立像」
「幽愁の毘沙門天」剥落止め

乙訓寺おとくにでら(京都府長岡京市)所蔵の重要文化財「毘沙門天びしゃもんてん立像りゅうぞう」が、京都国立博物館(京都市東山区)の文化財保存修理所に搬入された。

同寺は平安時代、空海と最澄が出会ったと伝わる古刹こさつ。毘沙門堂に安置されている像は高さ約1メートルの寄せ木造りで、あわれみ深い表情から「幽愁の毘沙門天」とも呼ばれる。

平安後期の作とみられ、制作当初の彩色のほか、細く切った金箔きんぱくを貼った「截金きりかね」文様が良好な状態で残るが、前回の修理は1932~33年。背中などで彩色や漆箔しっぱくの浮きが確認されており、プロジェクトの対象になった。

剥落(はくらく)を抑える養生紙が貼られ、丁寧に梱包作業が進められる毘沙門天立像= 河村道浩撮影

5月9日、公益財団法人「美術院」(同市下京区)の修理技術者が、傷みが激しい部分に養生紙を貼って準備。翌10日、本体や台座、光背を薄葉紙で梱包こんぽうし、修理所に搬入した。

薄葉紙で梱包される「毘沙門天立像」の台座(京都府長岡京市で)=河村道浩撮影
台座に乗せて搬出される毘沙門天立像(10日、京都府長岡京市の乙訓寺で) = 河村道浩撮影

今後、剥落はくらく止めなどの処置を進める予定で、堺淳・主任技師(45)は「90年を経て傷んだり色あせたりした部分に、丁寧に対処していきたい」と話した。

(2022年7月3日付 読売新聞朝刊より)

重要文化財「毘沙門天立像」とは…

Share

0%

関連記事