文化庁、宮内庁、読売新聞社が推進する「紡ぐプロジェクト」で、文化財修理助成事業の対象となった若王寺(京都府精華町)所蔵の重要文化財「木造智証大師坐像」が14日、修理のために京都国立博物館(京都市東山区)の文化財保存修理所に搬入された。
智証大師・円珍は平安時代初期に活躍した僧侶。天台宗寺門派の祖で、大津市の三井寺(園城寺)を再興した。坐像は平安後期の作で、修理は、彩色が浮き上がった部分の剥落を膠や自然由来の樹脂などで防ぐほか、表面の汚れを除去するなど1年がかりで進める予定。
この日は文化庁の文化財調査官らが見守る中、修理を行う「美術院」の修理技術者が坐像を厨子から慎重に下ろし、布などで梱包して車で搬出した。檀上幸裕住職(49)は「丁寧に運び出していただき、ありがたい。修理してもらい、100年後もこの地域で伝えていきたい」と話した。
(読売新聞京都総局・持丸直子、撮影・河村道浩)
2021年5月15日朝刊京都府版より掲載