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2022.3.12

【修理リポート】従来のたたずまいのままに…重要文化財「木造如意輪観音坐像」(京都・随心院蔵)

漆箔の剥落止めが進んだ「如意輪観音坐像」(京都国立博物館の文化財保存修理所で)=河村道浩撮影

文化庁、宮内庁、読売新聞社による「紡ぐプロジェクト」で、2021年度の文化財修理助成事業の対象となった随心院(京都市山科区)所蔵の重要文化財「木造如意輪にょいりん観音かんのん坐像ざぞう」(鎌倉時代前期)の修理が間もなく終了する。1月20日に関係者による修理協議会が開かれ、これまでの作業報告と今後の方針の確認が行われた。

如意輪観音坐像は昨年5月に公益財団法人「美術院」(同市下京区)が、京都国立博物館の文化財保存修理所(同市東山区)に搬入。

左手は、後世の作とみられる指4本を取り外し、新たに制作した指を接合するなどの修理を進めてきた。完成後は開眼法要を経て4月下旬に一般公開される予定。

修理が進んだ如意輪観音坐像の左手首
「 20年以上の仕事の中で五指に入る難しさ 」

同修理所で行われた協議会では、門脇豊・美術院研究部長(53)が写真やX線画像を示しながら経過を報告した。

X線撮影から、13世紀の造像当初から少なくとも2回、大がかりな修理があったことが判明。他にも小規模な修理があり、腕の付け根付近などには多数の鉄クギが打たれていたこともわかった。今回の修理では、鉄クギを外して接合面を補修し、さびにくい真ちゅう製のクギを取り付けた。

如意輪観音坐像のX線画像

顔部分を中心に進んでいた漆箔しっぱくの剥落止めは、門脇部長が「20年以上の仕事の中で五指に入る難しさだった」という。洗浄しすぎず経年による古色を残し、従来のたたずまいも維持するよう配慮したという。

文化庁の奥健夫・主任文化財調査官(57)は「慎重な判断と周到な調査の結果、印象を大きく変えず安全性を高める『いい修理』となった」と評価した。

随心院は22年度に「木造阿弥陀あみだ如来にょらい坐像」、23年度に「木造金剛こんごう薩埵さった坐像」の修理も予定しており、中本義久・寺務長(64)は「第一歩がほぼ終わってほっとした。後世に本尊を伝えていきたい」と笑顔を見せた。

修理中の写真を見せながら説明を行う
如意輪観音坐像の台座と光背

(2022年2月17日付 読売新聞朝刊より)

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