奈良国立博物館で5日開幕する特別展「国宝 聖林寺十一面観音―三輪山信仰のみほとけ」(読売新聞社など主催)の内覧会。4日、招待客ら約280人が奈良県桜井市の聖林寺が所蔵する国宝「十一面観音
十一面観音は元々、三輪山をご神体とする大神神社境内にあった神宮寺に安置されていたが、明治政府による1868年の神仏分離令に伴い、近くの聖林寺に移された。
同館の井上洋一館長は「見る角度によって、厳しさや悲しさ、優しさなど様々な表情を見せてくれる。じっくりと見ることができるこのチャンスを逃さないでほしい」と語る。
特別展では、神仏分離令で神宮寺を離れた国宝「地蔵菩薩立像」(法隆寺蔵、平安時代)や、日光・月光両菩薩立像(正暦寺蔵、同)も出展され、約150年ぶりに十一面観音と再会を果たした。
このほか、三輪山麓にある山ノ神遺跡から出土した酒造りの道具の土製模型(古墳時代)など、大神神社ゆかりの宝物も展示されている。
内覧会に参加した同神社の山田浩之広報室長は「古代から連綿と続く三輪山への信仰を視覚的に見ることができ、非常に感慨深い」と話していた。21、28日、3月22日は休館。会期中には展示の入れ替えもある。観覧料は一般1400円、高大生1000円、小中生500円。問い合わせは同館のハローダイヤル(050・5542・8600)へ。
(2022年2月5日付 読売新聞朝刊より)
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