青空のもと、黄色く色づき始めた稲穂が映える秋の集落では久々の行事に住民が沸き立っていた。香川県まんのう町
2年に1度、地元の加茂神社境内で奉納される踊りは雨乞い祈願として現在に伝わり、国の重要無形民俗文化財にも指定されている。干ばつに見舞われた平安時代、住民が諸国を遍歴する僧に勧められて雨乞い踊りをしたところ、大雨が降った。僧は町名の由来となった香川の水がめ「満濃池」を修築した空海(弘法大師)のことだ。
弘法大師由来の行事として江戸時代の記録も残り、地元の佐文綾子踊保存会が伝承を続けている。勇ましい棒振と
芸能史的価値も高いとされる綾子踊は、戦後に担い手不足で一時期途絶えたものの、1968年の保存会発足で地元の子どもに指導する体制ができた。コロナ禍で2020年の秋は奉納を断念したが、今回「子どもたちに小踊、大踊の経験をさせたい」と感染対策も万全にして再開を果たした。
綾子踊は、国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)無形文化遺産の登録を目指す日本各地の「
(2022年10月2日付 読売新聞朝刊より)
0%