東京藝術大学、宮内庁、読売新聞社は、特別展「日本美術をひも解く―皇室、美の玉手箱」を8月6日(土)~9月25日(日)に開催する。日本の美を未来に伝えるため、文化庁、宮内庁、読売新聞社が取り組む「紡ぐプロジェクト」の一環。
東京藝術大学大学美術館・黒川廣子館長が語る見どころ
皇室ゆかりの品を収める宮内庁三の丸尚蔵館の優品を中心に、日本美術を振り返る展覧会「日本美術をひも解く―皇室、美の玉手箱」の見どころを、会場となる東京藝術大学大学美術館の黒川廣子館長に聞いた。
本展は、東京藝大と縁のある「菊蒔絵螺鈿棚」から始まる。明治期に宮内省が東京美術学校(現・東京藝大)に制作依頼した、卓越した工芸作品で、東京藝大の美術館で本展を開催する意義を象徴するものだ。
日本美術を最初に体系的にまとめたのが、東京美術学校での岡倉天心の講義とされている。美術への理解を推進するという東京藝大の使命の原点に立ち返り、日本画や洋画、彫刻、陶磁器、金工、漆工、書といった幅広いジャンルの美術品約90件で、日本美術を楽しんでもらえるよう、分かりやすく解説し、多種多様な作品を含む「美の玉手箱」のひもを解きほぐしていきたい。
本展の最大の魅力は、昨年に三の丸尚蔵館の収蔵品として初めて国宝に指定された全5件を鑑賞できる貴重な機会であるということだ。
安土桃山時代を代表する狩野永徳の「唐獅子図屏風」、江戸時代の絵師・伊藤若冲の代表作「動植綵絵」などを前後期で分けて展示するが、国宝指定以来、一つの展覧会で全5件を公開するのは初めてのことになる。
迫力ある表現の唐獅子図や動植綵絵、「やまと絵の集大成」として名高い絵巻「春日権現験記絵」、元寇の様子を描いた「蒙古襲来絵詞」、平安時代の書の「三蹟」の一人、小野道風が手がけた「屏風土代」の国宝5件をはじめ、各作品の美の表現を存分に堪能してもらいたい。
(2022年1月5日付読売新聞朝刊より)
今年の夏は若冲の「ひまわり」を 「動植綵絵」10幅展示
「動植綵絵」は10幅(芍薬群蝶図、梅花小禽図、向日葵雄鶏図、紫陽花双鶏図、老松白鶏図、芦鵞図、蓮池遊魚図、桃花小禽図、池辺群虫図、芦雁図)がいずれも8月30日~9月25日に展示予定だ。