
〔2026年〕4月中旬、奈良市の国名勝・依水園で
隅田さんの父の隆蔵さん=写真=は2008年、第2回読売あをによし賞「本賞」を受賞した。伊勢神宮の式年遷宮で社殿の茅葺きを2度手がけ、この分野で唯一の選定保存技術保持者だった。90歳を過ぎても屋根に上り、「屋根の上で死ねたら本望」が口癖だった。24年、98歳で天寿を全うした。

隅田さんは高校時代から、父の仕事を手伝い、20歳頃に本格的に弟子入りした。当初は後継者になるつもりはなかったが、一緒に仕事をするうちに「自然と継ぐ流れになった」という。
父は職人気質で手取り足取り教えてはくれなかった。一つ一つ見ながら覚え、
山深い奈良県宇陀市の自宅を拠点に、工事のため全国を飛び回る。屋根1坪にかかる茅の重さは300キロほど。重さで下層が圧縮されるのを計算し、茅の密度をそろえる。束の縛り加減に職人の技が問われる。
約30年ごとに葺き替えられる屋根は、
職人も生産者も減り、仕入れ先だったススキの名所・
現在手がける仕事の多くは指定文化財や博物館施設が中心だ。現場では、各地の若手職人と一緒に作業することも多い。「互いに共感できる部分が必ずある。全国の山から良い素材を探して巡り合い、完成を所有者の方に喜んでもらえることが大きな喜び」と語る。(辰巳隆博)
◆「第20回」候補者募集
読売新聞社は「第20回読売あをによし賞」の候補者の応募を受け付けている。文化財の保存、修復の最前線を支える活動「保存・修復」の部と、伝統文化を継承し、発展させる取り組み「継承・発展」の部で選考する。賞金は各200万円。6月19日締め切り(必着)。問い合わせは事務局(06・6366・1857=平日午前10時~午後5時)。結果発表は秋頃を予定している。
(2026年5月5日付 読売新聞朝刊より)
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