<新垣俊道さん(歌・三線)コメント>
――公演に参加しての感想は?
「沖縄の代表として参加し沖縄の伝統芸能の一部を紹介でき大変光栄思います。また、日本を代表する各伝統芸能の素晴らしい方々と共演できたことも大変貴重な経験でした」
――他ジャンルの方々との共演で得られたこと、それをどう生かしたいですか?
「迫力ある演奏に加え、わびさびや幽玄の世界など沖縄音楽にはない日本らしさを直に感じることができました。また一糸乱れぬ演奏にも感動しました。同時に楽器や音色、音楽的構造の違いを改めて知ることができました。今後、実際に演奏を交えての共演がある際は今回の経験を大いに生かしていきたい」
――プロジェクションマッピングなど、デジタルアートとの共演をどう感じましたか?
「通常の舞台照明にはない幻想的で動きのあるリアルな演出が印象的でした。日本の伝統芸能は抑制した表現も多く、このような現代的なアートを組み合わせることで想像力をさらに掻き立てる要素になるのではないかと感じました。抑制的な表現とリアリティ、この対照的な組み合わせが新たな表現の可能性に繋がるのではないでしょうか」
――日本の伝統芸能の魅力とは?
「北海道から沖縄の距離感をはじめ、亜寒帯から亜熱帯と気候も違えば自然も異なります。それに伴い文化や伝統芸能も様々で、これだけ多様性がある国地域は他にあるのだろうかと改めて感じました。 伝統芸能には、その土地の自然をはじめ風習や民俗性、信仰など全てが凝縮されています。そして、それを独自の芸能として創り上げ芸術的に洗練させ継承されているところに伝統芸能の大きな魅力があると思います。」
――海外の方にどう伝えたいですか?
「ありのままの姿を伝えたいと思います。先達から継承してきた芸をしっかりと披露したいです。芸能から伝わってくる土臭さや風情など、これぞ日本、そして沖縄の芸能であるということを全力でぶつけていきたいと思います。その中でもマッピングなど新しい要素も取り入れながら現代に沿った発信も大切だと思います。また、芸能を通して楽器や衣装などの工芸品、また食文化なども多角的に文化を伝えていくことも重要だと思います」
<尾上菊之助さんコメント>
日本博特別公演では、10を超す舞台芸能が披露され、まずは歴史というタテの時間軸を感じました。受け継がれてきたものを糧に、現代に生きる私が舞台に立たせていただいていること、伝統の重さを実感しましたし、さらに、日本各地の伝統芸能、2.5次元ミュージカルなど、日本文化の懐の深さが伝わり、視野も広がったと思います。
もともと歌舞伎は、お客様に場面を想像して楽しんでいただく芸能で、役者、音、お客様が一緒に舞台空間を作ります。デジタルアートとの「共演」では、これまでの形ではできなかったスピーディーな転換など、新たな可能性も感じました。どう融合させて共存していくのか、両方を考える時代になりました。
伝統芸能というと、古くとらえられがち。「伝統を守っているだけなんでしょう」と、難しく思われますが、時代が変わっても生き残るということは、やる人が違っているわけで、解釈も変わります。先輩方の口伝、作品の持つ力も大事にし、時代時代によって守りつつ生まれ変わらせています。「古典でありながら最先端」ということを見ていただきたいと思っています。
■主催:文化庁、独立行政法人日本芸術文化振興会
■特別協力:東京国立博物館
■構成・演出:大和田文雄(独立行政法人日本芸術文化振興会〈国立劇場〉理事)
■空間演出:谷川じゅんじ(JTQ inc.)
■映像演出:WOW
■樹木演出:小松宏誠
■音楽監修・作曲:新内多賀太夫
■振付(石橋):尾上菊之丞
■技術監督:横沢紅太郎
■美術・照明・音響・舞台・舞台監督:国立劇場
■制作 :日本芸術文化振興会/国立劇場・国立能楽堂・国立劇場おきなわ・新国立劇場・日本博事務局
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