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2022.2.28

特別展「最澄と天台宗のすべて」より<3>釈迦 母を想う奇跡の瞬間…国宝「釈迦金棺出現図」(京都国立博物館蔵)

国宝「釈迦金棺出現図」 京都国立博物館蔵

キリストが処刑から3日目に復活を遂げたことは有名ですが、お釈迦さまが死後よみがえったことは意外と知られていないかもしれません。

仏教を開いた釈迦は、インドのクシナガラにおいて80歳で亡くなります。母である摩耶まや夫人ぶにんは天上界で暮らしていましたが、訃報ふほうを聞いて駆けつけます。母が到着した時、釈迦はすでにひつぎに納められていましたが、嘆き悲しむ母のために復活し、説法をしたのです。

摩訶まか摩耶経」という経典に説かれるこの奇跡を描いたのが、平安時代の傑作として名高い本図です。

光に包まれ、おだやかな表情で合掌する釈迦と、その前にひざまずく摩耶夫人。多くの人々が固唾かたずをのんで二人を見守ります。母をおもう釈迦が起こした奇跡の瞬間を、私たちはこの絵を通して追体験することができます。

福岡とも縁の深い実業家・松永安左エ門(耳庵じあん)の旧蔵品としても知られています。

(九州国立博物館文化財課資料登録室長・森實久美子)

特別展「最澄と天台宗のすべて」(読売新聞社など主催)は、太宰府市石坂の九州国立博物館で3月21日まで開催中(期間中、一部で展示替えがある)。問い合わせはハローダイヤル(050・5542・8600)へ。

出品リストやチケット情報は公式サイトでチェックしてください! https://tsumugu.yomiuri.co.jp/saicho2021-2022/

もっと知りたい「最澄と天台宗のすべて」

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