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2022.9.21

特別展「日本美術をひも解く―皇室、美の玉手箱」より<3>粋を極めた象牙の鷹匠…「古代鷹狩置物」石川光明作

「古代鷹狩置物」石川光明作
1899年(明治32年) 宮内庁三の丸尚蔵館蔵

鷹狩たかがりとは、鷹を放って獲物を捕らえさせる狩猟法で、古くから多くの美術品で描かれている。

1873年(明治6年)のウィーン万博のために制作された、日本の23種類の産物を図解する『産物一覧』(博物局編纂へんさん、国立公文書館蔵)で、製茶、稲米、漆、畳、生糸や蒔絵まきえとともに鷹狩が描かれるほど重要視されていた。

この作品は、明治天皇のご下命により、1900年(明治33年)のパリ万博で当時の日本の美術の水準をヨーロッパで示すために依頼されたもののひとつである。作者自身の解説書では、桓武天皇の時代の鷹匠の服装である狩衣かりぎぬ姿でまさに鷹を放つ瞬間を表し、腰の籠に入れたきじは鷹の餌となると記している。

台座は、象の牙の表面を残し、そこから左腕以外の鷹匠の体を一本の材から削り、鷹を据える左腕と帯に差す細い棒は別材であろう。この棒は、鷹の羽を整え、口の周りの汚れを落とすために使う「ぶち」と呼ばれる道具であるが、象牙で表現できるぎりぎりの細さではないだろうか。

(東京藝術大学大学美術館館長・黒川廣子)

特別展「日本美術をひも解く―皇室、美の玉手箱」は、東京藝術大学大学美術館(東京・上野公園)で9月25日まで開催中。詳しくはホームページ(https://tsumugu.yomiuri.co.jp/tamatebako2022/)で。

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