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本来、釈迦三尊の周囲を美しく厳かに飾るための仏画で、様々な動植物は釈迦を敬いその教えを聞きに集まったとされる。若冲が「釈迦三尊像」とともに京都・相国寺に寄進したが、明治時代初めの廃仏毀釈で窮乏した同寺から1889年に明治天皇に献上された。現在は三の丸尚蔵館が収蔵している。
皇室でも大切に保管され、1919年の修理では表具の天地が通常よりも長めに仕立てられた。外国からの賓客の接遇などの折に明治宮殿(1945年に焼失)にかけられた記録が残っている。
1999年度から2004年度にかけて行われた平成の修理の際には、平安時代や鎌倉時代の
展示される10幅のうち「
技巧が注目されがちな若冲だが、宮内庁の朝賀浩参事官は一切の手抜きなしに描き込んだ豊かな活力の源泉にも目を向けてほしいと話す。「仏教には自然界のすべてに仏性が宿るという考え方がある。若冲は写経に近い感覚で、生きとし生けるものを丁寧に描いたのではないか。そうでなければ、このエネルギーを理解するのは難しい」
(2022年7月3日付 読売新聞朝刊より)
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