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2021.9.1

【京の国宝】出品作品から① 国宝「瓢鮎図」~響き合う曲線 禅の深淵

国宝 瓢鮎図ひょうねんず 如拙筆、大岳周崇等三十一僧賛 (室町時代・15世紀、京都・退蔵院蔵)

国宝 瓢鮎図

男が大きな瓢箪ひょうたんを手に、ナマズにそっと歩み寄る。何とも微笑をさそうこの絵は、丸い瓢箪でぬるりとしたナマズを捕まえられるか、という禅問答を表現したものだ。

禅宗に深く帰依した室町幕府の4代将軍・足利義持のために、当時最も重用されていた禅僧画家・如拙じょせつが制作した。たわむ竹林、うねる地面、のっぺりした瓢箪、くねるナマズといった曲線の響き合いが、問いに関わる禅の深淵しんえんを表している。

戦後最初の国宝指定品の一つで、室町絵画を代表する名品である。

(京都国立博物館研究員 森道彦)

特別展「京の国宝」

【会期】9月12日まで。月曜休館。
【会場】京都国立博物館(京都市東山区)
【主催】文化庁、京都国立博物館、日本芸術文化振興会、読売新聞社
【問い合わせ】075・525・2473(テレホンサービス)

(2021年8月26日読売新聞京都版から)

展覧会公式サイトはこちら

特別展「京(みやこ)の国宝―守り伝える日本のたから―」:京都国立博物館 (yomiuri.co.jp)

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