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2022.5.19

国立劇場6月公演は101回目の「歌舞伎鑑賞教室」…時代物屈指の名作『彦山権現誓助剣―毛谷村―』を又五郎、孝太郎ら魅力的な配役で

取材会で抱負を語る中村又五郎さん(右)と片岡孝太郎さん=国立劇場提供

東京・半蔵門の国立劇場で、6月は101回目となる「歌舞伎鑑賞教室」として、『彦山権現ひこさんごんげん誓助剣ちかいのすけだち毛谷村けやむら―』が上演される。宮本武蔵がモデルともされる剣の達人・毛谷村六助を演じる中村又五郎さん、許嫁のお園を演じる片岡孝太郎さんが意気込みを語った。

『彦山権現誓助剣』は1768年、大坂で人形浄瑠璃として初演され、翌年歌舞伎に移された時代物屈指の名作。心優しい六助と、美貌びぼうと強さをあわせ持つお園が敵討ちを志すドラマが描かれる。

中村又五郎さん…親子3代で共演「ありがたい」
中村又五郎さん(毛谷村六助)=国立劇場提供

1990年に国立劇場で初めて毛谷村の六助を勤めさせていただき、その時は、中村吉右衛門のお兄さんにお稽古をしていただきました。その後、2012年に私の三代目又五郎襲名の博多座公演でも六助を勤めさせていただきましたが、その際は吉右衛門のお兄さんが斧右衛門でご出演くださり、毎日教えをいただいた思い出がございます。

六助は、正義感があって根は優しく力持ち。自分の剣術の師匠が悪者に討たれたことを知った時に、いかに怒りを出せるか、そこの山場にもっていくのが大切です。また、後半の(三味線の旋律に乗せて語る)“乗地のりじ”では、お客様が心地よく見ていただけるように勤めたいと思っています。

今回は息子の中村歌昇が微塵弾正実ハ京極内匠、孫の小川綜真そうまが一味斎孫弥三松を勤めさせていただきます。こうして親子3代で共演できるのは、ありがたいことです。

片岡孝太郎さん…「変わり目」を分かりやすく演じたい
片岡孝太郎さん(一味斎娘お園)=国立劇場提供

私は11回目の鑑賞教室出演です。お園はこのところ度々演じていて、父の吉岡一味斎が討たれる場面を含んだ通しでの上演にも参加しましたので、今回演じるにあたり、前の場面など全体的なストーリーが伝わるように頑張りたいと思っています。

数か月前の舞台で、中村時蔵のお兄さんのお孫さんの小川大晴くんを抱っこしましたし、今度は又五郎さんのお孫さんの綜真くんを抱っこします……今年は抱っこの年ですね(笑)。

お園は最初、虚無僧こむそうの姿で出てきて男性のふりをしていますが、六助に見抜かれるところで、まず変わります。自分の敵だと思って六助に切り掛かっていったお園ですが、話を聞いているうちに、敵ではなく心惹かれる素敵な人だと……。イメージ的には“ガチッ”と剣術に優れた女性が“ハッ”と可憐な恋心をのぞかせる、その変わり目では、笑いが起こるぐらいにわかりやすく演じたいなと思います。

101回を数える鑑賞教室 600万人が伝統芸能に触れるきっかけに

国立劇場の鑑賞教室は、開場翌年の1967年にスタートした。若手俳優による実演を交えた解説もあり、初めての人にも分かりやすい内容になっているほか、社会人に足を運んでもらいやすいよう午後6時半からの回も設けるなど、伝統芸能に触れるきっかけ作りに工夫を凝らしている。これまでの鑑賞者数は600万人を超えたという。

国立劇場制作部長の大木晃弘さんは、「昨年は、1回目の鑑賞教室をご覧になった方が、お子さんを連れて100回目の鑑賞教室に来てくださったという話も聞きました。そうして伝統芸能が次の世代につながっていくよう、101回目を迎えるにあたってもう一度原点に立ち返り、親しみを持ってもらえる公演を目指します」と話した。

鑑賞教室10回目となる又五郎さんは「年々真剣に見て楽しんでくれる学生さんたちが多くなってきているなと実感しています。こうした機会に、少しでも日本の古典芸能に触れていただいて、成人されてからも記憶に残るようになればと願っています」と語った。

また、孝太郎さんは1988年の鑑賞教室『毛抜』のエピソードを披露した。「吉右衛門のお兄さんとご一緒させていただいた時のことです。ある日、女子校のお客様が大勢いらっしゃって、大向おおむこうさんの掛ける『播磨屋!』と言う声を真似して、大きく見得をした途端、可愛く声を揃えて『せーの、はりまやー』と! そうしたらお兄さんもおかしくなっちゃって、後ろ向きになったところで、こらえきれずにニコニコされていたのを今でもよく覚えています」

「歌舞伎は“生もの”で、その日によってお客様の反応が違います。今こちらを見てくれているなというところでハートをつかめるように、また見たいなと思っていただけるように勤めるのが、この鑑賞教室での私たちの役目だと思っています」と意気込みを語った。

公演の詳細・チケットは公式サイトで! 

https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/kokuritsu_l/2022/4613.html

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