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2022.11.14

沖縄の伝統芸能「組踊」重要無形文化財50周年…創始者・玉城朝薫作の5演目を3夜で一挙に披露

沖縄の伝統芸能「組踊くみおどり」が国の重要無形文化財に指定されて50周年を迎え、記念公演「朝薫ちょうくん五番とからくり花火」が10月14~16日、国立劇場おきなわ(沖縄県浦添市)で行われた。

組踊「執心鐘入」

組踊の創始者・玉城たまぐすく朝薫作の5演目を3夜で一挙に上演する初めての試み。

初日は代表作「執心しゅうしん鐘入かねいり」で歌三線うたさんしんの西江喜春きしゅんさんと、能楽小鼓方の大倉源次郎さんの人間国宝2人が共演した。古い文献に基づいて、現在の組踊には用いない能楽の小鼓を取り入れた。宿の女が鬼に変身する見せ場では、力強い小鼓の音と「イヨーッ」という掛け声が緊迫感を高め、劇的効果を果たした。

大倉源次郎さん

琉球王府の踊奉行だった朝薫は江戸や薩摩を訪れ、能楽や歌舞伎などの芸能も組踊の参考にしたとされる。大倉さんは「能楽の要素を自然な流れの中で組踊に取り入れた朝薫さんの大和芸能への造詣の深さがよく分かった」と語った。

300年前の首里城に設けられた野外舞台も再現

2、3日目は舞台を野外に移した。組踊が初演された約300年前に首里城の庭に設けられた舞台の再現で、初秋の穏やかな風が吹く中、観客は「二童にどう敵討てきうち」などの華やかな舞や歌三線の演奏に酔いしれていた。

からくり花火「四輪車」も披露
復元、披露されたからくり花火。儒学者が乗った「四輪車」から火花が噴き出す

また、琉球王国時代のからくり花火「四輪車」も披露された。約2分間、仕掛け花火が次々につながり、儒学者が乗った四輪車が石橋の上を走る様子を表現した。

西江喜春さん

西江さんは「50周年を飾る公演になった。組踊や琉球舞踊といった沖縄の芸能を全国の方に鑑賞し、理解してもらえるよう、今後も努めていきたい」と話した。

(2022年11月6日付 読売新聞朝刊より)

(西部本社文化部・柳原正和、写真は西部本社編集局・中島一尊、田中勝美撮影)

3日間のステージを写真で紹介します
組踊「執心鐘入」
組踊「女物狂」
組踊「女物狂」
組踊が生まれる前から、中国からの使者をもてなす際に披露されていた「入子躍(いりこおどり)」。大勢の若衆が円を描いて踊る
組踊「孝行の巻」
組踊「銘苅子」
組踊「銘苅子」
組踊「 銘苅子 」
組踊「二童敵討」
組踊「二童敵討」

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