2019.11.14

【舞踊】総勢60人の芸・舞妓が東京で舞う 人間国宝・井上八千代が語った祇園の伝統と京舞の華

国立劇場11月舞踊公演「京舞」

京都の花街・祇園を本拠に発展してきた京舞井上流による舞踊公演「京舞」が、11月29、30日に東京・国立劇場で行われる。21年ぶりの東京公演で、人間国宝で京舞井上流五世家元の井上八千代さんをはじめ、京都五花街の一つ、祇園甲部の芸妓げいこ舞妓まいこら約60人が出演する。公演を前に、井上さんが舞への思いを語った。

変わる世間と変わらない伝統

京舞は、御所に仕えた女官らの御殿舞ごてんまいを源流とし、能や文楽人形の動き、歌舞伎舞踊などのエッセンスを交え、独自の美の世界を築いてきた。花街で舞われる座敷舞ならではのみやびな風情と表現力とを併せ持ち、今も多くの人に愛されている。

井上流の初代は、江戸時代後期、御所勤めで舞を始めたと伝わる。その後、祇園に根を下ろした。明治5年(1872年)に第1回京都博覧会が開催された際、三世八千代が考案し振り付けた舞踊公演「都をどり」は、今も京都の春の風物詩として受け継がれている。

「(前回の)平成10年(1998年)の公演は、京都でおさらいもみんな済ませまして、さあ出かけようという時に祖母(四世八千代)の具合が悪くなり、すったもんだしたことを思い出しました。その間に五世八千代を襲名しまして、あっという間の21年やったなぁと思います」と井上さん。その間、芸妓の世代交代が進んだ。「育ててもろた人たちがいなくなり、立方たちかた(踊り手)は私の世代が一番上になりました。特にこの10年くらいの間に、世の中も舞台の顔ぶれも変わりました」と振り返る。

今回の公演では、曲目を時代に合わせて変えることも考えたが、「やはり伝承されたものをご覧いただこうと。『手打てうち』など、井上流の伝統だけでなく、祇園の伝統もご覧いただきたい」と、京舞の特徴的な曲をそろえた。「手打」は、大勢の芸妓が拍子木を打ち、褒め言葉をはやして花道から登場するという華やかな一幕で、各日の公演を締めくくる。井上さんは「面椀久めんわんきゅう」と「虫の」の2曲を舞う。

ライフワークにしていきたい大切な「虫の音」
国立劇場をバックに

「三つ面~」は、遊女に入れあげ、座敷ろうに閉じ込められ狂ってしまった豪商・椀久の物語で、歌舞伎や浄瑠璃でも知られる「椀久物」の一つ。面を使って3役を舞い分ける。「東京のお客さんは椀久物というと、粋な、もの悲しい作品と受け止められるかもしれませんが、(三つ面~は)もっさりしたものです。(祇園出身で作家の)松井今朝子さんがおっしゃった『近代以前の舞』といいますか、こっくりとした、ねっとりとしたところもある。違った椀久物と思っていただければ」と紹介する。

「虫の音」は能「松虫」を元にしており、秋の情景によせて亡き友をしのぶ内容。「祖母の四世八千代が再三再四舞い続け、『死ぬまで舞いたいな』と言うておりました。私もとても好きな曲で、虫の音を舞う祖母に憧れて、京舞の世界に入りました。ライフワークにしていきたい大切な曲です」と思い入れを語った。

かめばかむほど味わい

「井上流は女性ばかりでつないできたので、しゃれっ気はあまりないかもしれません。どちらかと言えば訴えかけは強くない。今風のテンポの速い、にぎにぎしいというのもないが、かめばかむほど味わいがある。新たなメンバーで、拙いことが多ございますが、これから先の京都・祇園、井上流を見守っていただく気持ちでご覧いただきたい」と呼びかけていた。

(読売新聞紡ぐプロジェクト事務局 沢野未来)

開催概要

日程

2019.11.29〜2019.11.30

29日(金) 午後3時開演(午後6時25分終演予定)
30日(土) 午前11時開演(午後2時5分終演予定)
30日(土) 午後3時開演(午後6時20分終演予定)

会場

国立劇場 大劇場
〒102-8656 東京都千代田区隼町4-1

料金

1等A席 9,200円(学生6,400円)
1等B席 6,100円(学生4,300円)
2等席 3,900円(学生2,700円)
3等席 2,500円(学生1,800円)

詳細はチケットセンターまで
https://ticket.ntj.jac.go.jp/

お問い合わせ

国立劇場チケットセンター(10時~18時)
0570-07-9900
03-3230-3000(一部IP電話等)

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