「令和」の元号の典拠としても著名な、現存するわが国最古の歌集『万葉集』は、大伴家持ら万葉歌人のほか、天皇・皇后や庶民の歌を収める。それを平安時代に書写した貴重な古写本のひとつが「金沢本万葉集」である。もと二十巻と推測されるが、当館収蔵の国宝を含め、現在は巻第二、三、四、六の残巻のみが伝わる。
定信は23年かけて一切経五千余巻をひとりで書写する
「金沢本」の名称は金沢藩(加賀藩)前田家の伝来にちなむもので、3代藩主・利常の遺愛の品であったことが、5代藩主・綱紀の
当館収蔵の国宝「金沢本万葉集」は、1910年(明治43年)に明治天皇が東京本郷の前田邸に行幸したさい、16代当主・
今回は、そのうちの巻第三の断簡と第六の断簡を合わせた一冊(前田育徳会蔵、国宝)も同時に展示され、2015年(平成27年)の「加賀前田家百万石の名宝」展(石川県立美術館)以来の再会となる。
制作から900年ほどを経た今も優美にきらめく料紙と、その紙面を走る定信の書の流動美をご覧いただきたい。
(皇居三の丸尚蔵館研究員・山田
■ 皇居三の丸尚蔵館収蔵品展 皇室と石川―麗しき美の
煌 めき―【会期】〔2023年〕10月14日(土)~11月26日(日)
11月6日(月)は休館【会場】石川県立美術館、国立工芸館(金沢市出羽町)
【主催】石川県立美術館、国立工芸館、いしかわ百万石文化祭2023実行委員会、宮内庁、文化庁、国立文化財機構
【共催】北國新聞社
【特別協力】紡ぐプロジェクト、読売新聞社、前田育徳会
【問い合わせ】石川県立美術館076・231・7580、国立工芸館(ハローダイヤル)050・5541・8600
(2023年10月1日付 読売新聞朝刊より)
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