文化審議会は16日、宮内庁「三の丸尚蔵館」が収蔵する美術工芸品のうち、安土桃山時代を代表する狩野永徳の「唐獅子図屏風」をはじめ、絵画4件と、書跡1件を国宝とするように文部科学相に答申した。皇室ゆかりの優品を収める同館の収蔵品の国宝指定は初めて。学術的な価値を明確にし、展示や研究などの活用を広く進める。
元寇の様子を描く「蒙古襲来絵詞」、鎌倉時代のやまと絵絵巻の最高峰「春日権現験記絵」と、江戸時代の絵師・伊藤若冲の代表作「動植綵絵」、平安時代の書の「三蹟」の一人、小野道風が手がけた「屏風土代」の指定も答申された。
三の丸尚蔵館は1993年、皇室から国に寄贈された美術工芸品の収蔵を目的に皇居・東御苑に開館。収蔵品はこれまで、十分な保護がされているため、文化財として指定されてこなかったが、宮内庁と文化庁が国宝や重要文化財への指定を検討してきた。
(2021年7月17日読売新聞朝刊より掲載)