文化庁、宮内庁、読売新聞社が連携して進める「紡ぐプロジェクト」で、文化財修理助成事業の対象となった随心院(京都市山科区)所蔵の重要文化財「木造如意輪観音坐像」が5月21日、京都国立博物館(同市東山区)の文化財保存修理所に搬入された。
毎春秋の一般公開以外は本堂の厨子に安置される秘仏の本尊。引き締まった口元の表現や、伸びやかな手足を均衡よく配した全体像から、鎌倉時代前期の作と考えられている。漆塗りの剥離が全体で進んでおり、来年3月末まで、剥落止めを施すなどの補修をする予定。
この日までに、修理担当者らが、傷みが激しい部分に養生紙を丁寧に貼って梱包し、坐像を慎重に車に積み込んだ。
随心院の中本義久・寺務長(63)は「無事にスタートして感無量です。この修理を通じて後世に伝えていきたい」と話した。
同寺は「木造阿弥陀如来坐像」「木造金剛薩埵坐像」(いずれも重文)も対象となっており、それぞれ2022、23年度に修理される。
(2021年5月22日読売新聞京都版より)
(読売新聞京都総局 山口景子、写真 河村道浩、動画 デジタルコンテンツ部 岡本公樹)
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