文化庁、宮内庁、読売新聞社による「紡ぐプロジェクト」で、2021年度の文化財修理助成事業の対象となった随心院(京都市山科区)所蔵の重要文化財「木造
如意輪観音坐像は昨年5月に公益財団法人「美術院」(同市下京区)が、京都国立博物館の文化財保存修理所(同市東山区)に搬入。
左手は、後世の作とみられる指4本を取り外し、新たに制作した指を接合するなどの修理を進めてきた。完成後は開眼法要を経て4月下旬に一般公開される予定。
同修理所で行われた協議会では、門脇豊・美術院研究部長(53)が写真やX線画像を示しながら経過を報告した。
X線撮影から、13世紀の造像当初から少なくとも2回、大がかりな修理があったことが判明。他にも小規模な修理があり、腕の付け根付近などには多数の鉄クギが打たれていたこともわかった。今回の修理では、鉄クギを外して接合面を補修し、さびにくい真ちゅう製のクギを取り付けた。
顔部分を中心に進んでいた
文化庁の奥健夫・主任文化財調査官(57)は「慎重な判断と周到な調査の結果、印象を大きく変えず安全性を高める『いい修理』となった」と評価した。
随心院は22年度に「木造
(2022年2月17日付 読売新聞朝刊より)
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