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2026.5.14

【修理リポート】国宝「金峯山経塚出土紺紙金字経きょうづかしゅつどこんしきんじきょう」(奈良・金峯山寺きんぷせんじ蔵)― 道長・師通もろみち直筆の金字 きれいに 奈良博の特別展でお披露目

修理後の経を確認する五條管長(左)=奈良県提供

文化庁、宮内庁、読売新聞社による「紡ぐプロジェクト」の文化財修理助成事業で、助成対象となった国宝、重要文化財の修理が続々と完了している。このうち、国宝2件、重要文化財1件について、修理の詳細をリポートする。

奈良・金峯山寺きんぷせんじの国宝「金峯山経塚出土紺紙金字経きょうづかしゅつどこんしきんじきょう」が約2年半の修理を終え、奈良国立博物館で開催中の特別展「神仏の山 吉野・大峯―蔵王権現にささげた祈りと美―」(〔2026年〕6月7日まで)でお披露目されている。

国宝の一部、藤原道長筆「仏説阿弥陀経」の修理前(上) と修理後(下)。修理を経て金字が美しく浮かび上がった

金字経は、平安貴族の藤原道長とひ孫の師通もろみち直筆の巻物で、紺紙に金泥で写経されている。金峯山(現・山上ヶ岳)に埋納され、江戸時代に掘り出されたと伝わり、このうち191紙が2015年、金峯山寺の納戸から見つかった。

 経文は筒に入った状態で保管されていたが、紙が固着し、金字が剥落するなど経年劣化が激しかった。同館の文化財保存修理所で行われた修理では、固着部分を丁寧に開き、欠損部を紺色の補修紙で接ぎ、金字の剥落を止める作業が進められた。

3月26日、同館で修理報告を受けた金峯山寺の五條良知管長(62)は「見つかった時は宝物と呼べる状態ではなかったので、きれいにしてもらえて大変ありがたい。仏、先祖、民衆を大事にした道長や当時の人たちに思いをはせてもらえたら」と話していた。

(2026年5月5日付 読売新聞朝刊より)

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