2022.1.19

【22年度修理品から⑥】重文・東妙寺文書~中世日本の世相伝える

重文 東妙寺とうみょうじ文書もんじょ (佐賀・東妙寺蔵)

後醍醐天皇綸旨(部分)

蒙古襲来を機に建立された東妙寺に残る、鎌倉時代から江戸時代までの32通の古文書。3巻の巻物に仕立てられている。

このうち「後醍醐天皇綸旨りんじ」は、後醍醐天皇が1334年(建武元年)、東妙寺を開山した唯円上人にあてた文書。東妙寺の寺領領有を認めたことを示している。

東妙寺は鎌倉幕府や室町幕府と関わりが深く、文書は中世の日本の世相を伝える貴重な資料となっている。

■ 修理のポイント

全体的にチリやホコリが付着し、虫食いによる欠損も見られる。3年かけて、汚れを取り除き、欠損した紙を補修するなどの修理を行う。

選考委員長・根立研介京都大教授の話

2019年度からスタートした「紡ぐプロジェクト」の修理助成事業は4年目になる。22年度も国宝2件を含め、素晴らしい文化財の応募の中から対象作品を決めることができた。

今回は工芸品がなく、ジャンルに偏りがあり、関西に集中しているが、初めて九州(佐賀県)からの応募もあったのは喜ばしい。何より、毎年続けていくことこそ価値があると思う。

文化財保護も、長引くコロナ禍に大きな影響を受けている。文化財の所蔵者、特に社寺の財政事情はかなり悪化しているところがある。修理の時期が来ているにもかかわらず、財政上の理由で修理を見送ってしまうと、適切なタイミングで修理を施すことが難しくなってしまう。

今まで国宝や重要文化財への修理補助金を計上していた地方公共団体も財政事情が悪化している。国や地方公共団体以外からの資金をどう調達するか、ますます工夫し、知恵を絞らねばならない。

「紡ぐプロジェクト」など民間の力を借りる必要性が増大している。また、クラウドファンディングなども広まっており、多くの方に文化財保護への関心を持っていただきたい。

(2022年1月9日読売新聞から)

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