2022.1.18

【22年度修理品から⑤】重文・長命寺文書~伽藍焼失、復興へ寄付募る

2022年度の「紡ぐプロジェクト」修理助成事業は、新たに国宝や重要文化財など6件が対象に決まった。このうち滋賀・長命寺が所蔵する古文書を紹介する。

重文 長命寺ちょうめいじ文書もんじょ (滋賀・長命寺蔵)

長命寺文書のうち長命寺参詣曼荼羅

琵琶湖の東岸に位置する西国三十三所観音霊場・長命寺には、重要文化財に一括指定されている平安~明治時代の古文書「長命寺文書」(全4567通)が伝来する。3年かけて修理するのは、そのうちの「穀屋こくや文書」(51通)と、付属する「長命寺参詣曼荼羅まんだら」3点だ。

「穀屋」とは寺の修理や経営を担当する部署のこと。1516年に戦乱で焼失した長命寺では、尼僧らが資金を集め、約100年かけて伽藍がらんを復興した。穀屋文書には、この時に人々に寄付を呼びかけた「勧進状」などが含まれている。

参詣曼荼羅は江戸時代の制作で、尼僧らが全国を巡って寺の歴史や仏の功徳を解説し、寄付を募るために使われたとみられる。焼失以前の繁栄した境内が描かれていると推測され、巡礼者の姿や琵琶湖に浮かぶ多数の舟などが鮮やかに描かれている。

■ 修理のポイント
料紙に穴が開いている部分

文書は箱に入れて保管されているが、虫食いの穴やシミがあり、墨の剥落はくらくも懸念される。曼荼羅は持ち運びしやすいよう折りたたまれており、特に折り目の部分で顔料の剥落や破損が目立つ。

裏打紙うらうちがみを全て交換するなど、本格的な解体修理を行う。

(2022年1月9日読売新聞から)

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