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2024.2.9

【修理リポート】重要文化財「蓮池図」(大阪・西福寺蔵) 伊藤若冲筆 ― 表装裂 少し濃い色調に

「紡ぐプロジェクト」修理助成 熟議、慎重な作業続く

西福寺の榎原清了住職(右)らが修理後の見え方を確認する

「紡ぐプロジェクト」が助成する文化財の修理が順調に進んでいる。現在の姿のまま後世に伝えるべく、試行錯誤を重ねながら慎重な作業が続く。西福寺(大阪府豊中市)の伊藤若冲筆「蓮池図」は、この春にも修理完了を迎える。草堂寺(和歌山県白浜町)の「障壁画」の下張りからは古文書が新たに見つかった。

西福寺が所蔵する伊藤若冲筆の重要文化財「蓮池図れんちず」は、この春に完成を迎える。3年計画で2021年度から作業を進め、昨年〔2023年〕11月30日には京都国立博物館内の文化財保存修理所の「松鶴堂」工房で、本紙を新しい表装裂ひょうそうぎれに仮張りした状態で作品を確認した。

修理前の掛け軸の状態では本紙の周囲に表装裂が重なり、2~3ミリ隠れていた部分があったが、若冲の描いた画面がすべて見えるようになった。表装裂は以前の文様を参考に、少し濃い色調のものを選んだところ「絵が引き締まって見えるようになった」などの意見が出た。

また、22年に重要文化財に指定され、24年度から紡ぐプロジェクトの助成対象に決まった、伊藤若冲作の重要文化財「山水図」(同寺蔵)も修理前の状態を確認した。春から調査を始め、25年度に本格的な修理に入る予定だ。

同寺の榎原清了住職は「修理を経て、作品の見え方がどのように変わるのか楽しみだ」と話した。

(2024年2月4日付 読売新聞朝刊より)

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