「紡ぐプロジェクト」が助成する文化財の修理が順調に進んでいる。現在の姿のまま後世に伝えるべく、試行錯誤を重ねながら慎重な作業が続く。西福寺(大阪府豊中市)の伊藤若冲筆「蓮池図」は、この春にも修理完了を迎える。草堂寺(和歌山県白浜町)の「障壁画」の下張りからは古文書が新たに見つかった。
西福寺が所蔵する伊藤若冲筆の重要文化財「
修理前の掛け軸の状態では本紙の周囲に表装裂が重なり、2~3ミリ隠れていた部分があったが、若冲の描いた画面がすべて見えるようになった。表装裂は以前の文様を参考に、少し濃い色調のものを選んだところ「絵が引き締まって見えるようになった」などの意見が出た。
また、22年に重要文化財に指定され、24年度から紡ぐプロジェクトの助成対象に決まった、伊藤若冲作の重要文化財「山水図」(同寺蔵)も修理前の状態を確認した。春から調査を始め、25年度に本格的な修理に入る予定だ。
同寺の榎原清了住職は「修理を経て、作品の見え方がどのように変わるのか楽しみだ」と話した。
(2024年2月4日付 読売新聞朝刊より)
0%