文化庁、宮内庁、読売新聞社が推進する「紡ぐプロジェクト」の修理事業として、東寺(京都市)所蔵の重要文化財「木造観音菩薩・梵天・帝釈天立像(二間観音)」が5月15日、京都国立博物館(同市)の修理作業施設に移された。
この日、東寺で文化庁の文化財調査官や修理技術者が像の状態を確認し、厨子とともに慎重に運び出した。
二間観音は、白檀を用いた鎌倉時代の三尊像。いずれも高さ20センチあまりの端正な像で、衣には精緻な截金文様が施されている。天皇の仏事の本尊と伝えられ、宮中清涼殿の「二間」(部屋の名称)に安置されてきた。室町時代に東寺に遷された。現在は真言宗の総大本山の僧侶が集まる法要「後七日御修法」で使われ、一般公開はされていない。
截金や台座の彩色が一部浮き上がっており、半年をかけ定着させる作業などを行う。東寺の新見康子・文化財保護課長は「文化財として初の本格的な修理。よりよい状態で後世に伝えられたらうれしい」と話す。
(読売新聞大阪文化部 藤本幸大)
(2019年5月23日読売新聞朝刊より掲載)
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