髙島屋の和菓子バイヤー・畑主税さんが、毎月の行事や旬の素材にちなんだ、とっておきの和菓子を紹介します。3月は体を温める食材として人気の
江戸前期・正徳5年(1715年)創業という島根県の「
炭火で生姜の絞り汁と砂糖を溶かし、板チョコレートのように正方形に分かれた銅版の型に流し込んで、冷まして固めていきます。とてもシンプルな作り方だと思われるかもしれませんが、生姜汁を砂糖と共に煮詰める際の加減が非常に難しく、煮詰め過ぎてしまうと焦げてしまいますし、煮詰め方が足りないと固まってくれないのだそうで、奥が深いです。
材料の要となる生姜は地元・島根県産で、繊維質が非常に細やかで扱いやすいそうです。
ひと口サイズの生姜糖は、カリカリとした歯応えがあり、口の中で砕けて溶けていく砂糖の甘味と共に生姜の辛味が引き出されます。「山陰名産、風流雅味」…老舗が生み出す味わいに、もうひとつ、もうひとつと手が止まらなくなるでしょう。
【生姜糖】1枚・箱入り 600円(税込み)
來間屋生姜糖本舗/島根県出雲市平田町774
TEL:0853-62-2115
https://syougatou-honpo.jp/
かつて大分県臼杵市は生姜の一大産地でした。その地で100年以上続く「後藤製菓」。伝統の「
小麦粉に卵を加えて作られた生地はサクサクとした食感。焼き上げて、まだ柔らかいうちに型をあてて湾曲させたタイプと、平たいタイプがあります。生姜風味の蜜は、一度乾燥させてから、1枚ずつ手作業で刷毛塗りされているので、煎餅の端に蜜が溜まったり、逆に少しかすれたところがあったり。それもまた良い風情になっています。
軽やかな口当たりで、ついつい止まらなくなってしまいます。「常備」したくなる一品です。
【臼杵煎餅】12枚袋入 648円(税込み)
後藤製菓/大分県臼杵市深田118
TEL:0972-65-3555
https://usukisenbei.com/
金沢で人気のお菓子の一つが「
曲げわっぱのようなパッケージも愛らしく、素朴で、どこか懐かしい味わいのお菓子です。
【しょうが餅】1箱(8個入) 486円(税込み)
柴舟小出/金沢市横川7-2-4
TEL:076-241-3584
https://www.shibafunekoide.co.jp/
なんと目を奪われるネーミング! 高知市の「青柳」の「高校三年生の山田まん」は、県立山田高校の生徒さんと開発した饅頭だそうです。
「普通の色じゃ面白くない」と、食用炭を生地に練り込み黒色に仕上げています。中のあんは白あんをベースに、高知県産の生姜とバターなどを合わせた洋風の味わい。洒落のきいたキャッチコピーは「食べるしかないでショウガ」。
しっとりとした饅頭生地に生姜の辛みが立ち、香りも高い。大きさも食べやすく、 バターの香りが良い具合に調和しています。しっかりと生姜の特性を活かし、高知らしさを打ち出しているところがユニークで、若い世代にも親しみやすい饅頭と言えそうです。
【高校三年生の山田まん】3個入 324円(税込み)
青柳はりまや橋本店/高知市はりまや町1-4-1
TEL:088-861-6066
https://www.tosa-aoyagi.com/
※商品は予告なく販売を終了する場合がございます。あらかじめご了承ください。
きっと多くの人が、「鶴の玉」という名前を聞くと、マシュマロのお菓子やホワイトチョコレートコーティングのお菓子を想像するのではないでしょうか。鳥の卵を模したお菓子かと思いきや、「たつみ堂」の「鶴の玉」はちょっと違います。
すりごまの入った生地で白あんを包み、卵形に整えて焼き上げた焼き饅頭で、サクサクとしたクッキーのような食感です。表面が生姜蜜でコーティングされており、これがアクセントになって、飽きのこない味わいになっています。
さて、このお菓子は鶴の卵を模しているわけではなく、もともとは戦国武将の蒲生氏郷が松坂城を築き、城下町を整備した功績を称えて作られたもの。氏郷の幼名である「鶴千代」にちなんだ、大正元年創業以来の銘菓なのです。
【鶴の玉】1個 108円(税込み)
たつみ堂/三重県松阪市本町2172
TEL:0598-21-1337
https://tatsumido.jp/
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