2021.10.7

【和菓子ごよみ10月】栗のお菓子―秋の味覚を名月とともに

髙島屋の和菓子バイヤー・畑主税さんが、毎月の行事や旬の素材にちなんだ、とっておきの和菓子を紹介します。秋は観月の季節、今年の「十五夜」(9月21日)は8年ぶりに満月と重なったことが話題になりました。そして10月には「十三夜」があります。旧暦の9月13日~14日の夜のことで、今年は18日です。十三夜は「栗名月」とも言われます。栗のお菓子とともに、美しい月が見られますように…。

栗ハ栗ノ味デ 木曽路を代表する「栗きんとん」

栗の名産地として知られる岐阜・中津川は、駅を降りると多くの名店が軒を連ねています。その中からご紹介するのは、「すや」の栗きんとん。

「栗ハ栗ノ味デ」「きんとんは栗のかたちにもどす」という昔からの伝統を大切にされています。栗と砂糖だけを使用して炊き上げ、裏ごしして茶巾絞りにするという、本当にシンプルなお菓子です。

【栗きんとん】6個入 税込1609円
すや/岐阜県中津川市新町2-40
TEL:0120-020-780
https://www.suya-honke.co.jp/

ネット通販は予約で完売の人気ぶり! 山形の老舗が手がける「栗蒸しようかん」

山形の老舗・やまり菓子舗の「栗蒸しようかん」は、栗の実を蒸し上げたものがたくさん入っています。栗本来の風味をいかすため、甘露煮ではなく、蒸し上げているのだとか。 周りを包む蒸しようかんは滑らかで、何度頂いても、いつも感動します。 「ようかんのイメージが変わりますよ」と6代目の新宮利幸さん。 毎年大人気で、通販では、今年の分もすでに予約で完売してしまったそうです。

そして、栗の季節が終わったらぜひ味わいたいのが「芋ようかん」。サツマイモを蒸して裏ごしし、砂糖を加えて調整して、形を整えます。滑らかな舌触りの中で、ほっくりとした芋の食感がいかされています。素朴な風合いも引き出しつつ、ちゃんと上品にまとまりのある味わいに仕上げられているのです。ついつい食べ過ぎてしまう…そんな一品です。年明けから販売予定とのことです。

【栗蒸しようかん】【芋ようかん】 1本 税込3780円~
やまり菓子舗/山形県白鷹町荒砥甲1213
TEL:0238-85-2146
https://www.yamari.shop/

蒸した新栗を渋皮ごと裏ごし 毎年待ち遠しい「栗おはぎ」

「京都くりや」はそのお店の名前の通り、栗を使った和菓子を多く製造しています。通年で販売される商品もありますが、やはり秋だからこそのオススメは「栗おはぎ」。

蒸した新栗を渋皮ごと裏ごしして、栗そのものの甘さが際立つ栗あんで、おはぎの餅生地を包んでいます。いつになったら「栗おはぎ」が店先に並ぶだろうかとこのお菓子のファンが大勢楽しみに待っていますので、9月に入るとお問い合わせが増えます。「栗きんとん」にしてもそうですが、栗と砂糖だけで作る栗あんは魅力的ですね。

【栗おはぎ】1個 税込248円
京都くりや/京都市中京区丸太町通油小路西入大文字町42
TEL:075-231-4564
https://kyoto-kuriya.jp/
※12月中旬まで販売予定

栗の姿をそのままに 愛らしい京の一品

京都・二條若狭屋の「やき栗」と「ふく栗」は、通年の看板商品として親しまれているお菓子です。どちらも栗を一粒使っていて、ほっくりとした食感が印象的です。

「やき栗」は栗をそのまま栗あんで包み、卵黄を塗ってから表面に焼き目を入れています。まるで薄皮に包まれたように、ほわっと表面にしわが出ているのも風情があります。香ばしさとまろやかな甘みが巧みにまとめられています。

姉妹商品として愛されている「ふく栗」は、イガから取り出した栗の姿がそのまま再現されています。「やき栗」と同じく、一粒の栗を栗あんで薄く包んだ後、その上から小豆こしあんで包み、仕上げに羊羹をかけている…いわば「三重奏」。つややかな表面には芥子粒が散らされ、実に愛らしくもあります。

【やき栗】1個 税込249円
【ふく栗】1個 税込270円
二條若狭屋/京都市中京区二条通小川東入ル
TEL:075-231-0616
http://www.kyogashi.info/

思わず見惚れる職人技 薄いどら焼き風の生地に栗一粒

銘菓の多い金沢から、「板屋」の「こもかぶり」をご紹介します。薄いカステラ生地の中に粒あんと栗一粒が入っているのですが、表面が藁で包んだ時のように網掛けにされているのがポイント。海苔が挟まれているのも、このような焼菓子には珍しいように思います。

そのまま食べてももちろんしっとりとして美味しいですが、少しトースターで加熱すると、香ばしくなって、作りたてに近い味わいが楽しめます。薄いどら焼き風の生地のお菓子にはこんな楽しみ方もあります。

実演を拝見したことがあるのですが、小麦粉と卵などを合わせた生地を、鉄板に楕円形に描いて、次にその生地の上に、網掛けの部分になる細い波を描きます。そして、焼いている間に、蜜漬けした栗を粒あんで包んで餡玉を作り、焼いている生地の上にのせていきます。両端をつまんで閉じ、海苔を軽く鉄板で焼いた後、残りの網掛けでうまくはさんでいくのです。この一連の動きはまさに匠の技で、見惚れてしまいます。実演の機会があればぜひご覧ください!

【菰かぶり】1個 税込259円
板屋/金沢市尾山町10-18
TEL:076-221-0232
http://www.itaya-net.com/

畑主税

プロフィール

髙島屋和菓子バイヤー

畑主税

1980年生まれ、大阪府出身。2003年に髙島屋に入社し、洋菓子売り場の担当を経て、06年和菓子売り場の担当に。京都の和菓子を作りたてのままで提供したいという思いから、人気店の上生菓子を自ら京都で仕入れ、新幹線で運び、夕方に店頭に並べ話題を集めた。全国1000軒以上を巡り、食べた和菓子は1万種以上。著書に「ニッポン全国 和菓子の食べある記」(誠文堂新光社)。ブログ「和菓子魂!」(http://blog.livedoor.jp/wagashibuyer/) Twitter:@wagashibuyer

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