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2022.4.11

壮大な神輿に精巧な装飾 重要文化財「樹下宮」展示―特別展「最澄と天台宗のすべて」京都国立博物館で

京都国立博物館(京都市東山区)で12日に開幕する特別展「最澄と天台宗のすべて」に、日吉大社(大津市)が所有する重要文化財の神輿みこし7基(安土桃山~江戸時代)のうち、神獣の猿をかざり金具であしらった「樹下宮じゅげぐう」が出展される。約2トンの神輿本体の壮大さと、精巧に施された美しい装飾が見どころだ。

日吉大社の収蔵庫に並ぶ重要文化財の御輿「樹下宮」(大津市の日吉大社で)=前田尚紀撮影

日吉大社は比叡山の東麓に鎮座する。伝承では、最澄(伝教大師)の父が子宝を願い、境内にある八王子山(381メートル)に籠もって神に祈ったところ、最澄が生まれた。最澄は比叡山を拠点に天台宗を広めるにあたり、日吉の神を「山王さんのう」と呼んであがめたという。

延暦寺の影響力が強大化した平安中期以降、僧兵らが日吉大社の神輿を担いで京へ押し寄せ、朝廷などに要求を突きつける「強訴ごうそ」を頻繁に行った。神輿は両社寺の権威の象徴となったが、織田信長の比叡山焼き打ち(1571年)で焼失。社殿の復興に伴い、新調されたものが今も残る。

「樹下宮」の神輿は、豊臣秀吉らに仕えた浅野長政の娘が1588年に寄進したと伝わる。下部の腰周りには「魔が去る」「勝る」から、縁起が良いとされる猿が7基中唯一、錺金具で造形されている。木にぶら下がる姿などを愛らしく表現しているのが特徴だ。

7基は1966年に重文に指定され、72年から新たな神輿が順次作られた。男たちが神輿を豪快に担いで夜の山道を駆けおりる山王祭(毎年4月)の「うまの神事」で使われるなど、今も日吉大社に欠かせない神具だ。

日吉大社の収蔵庫に並ぶ重要文化財の御輿
「午の神事」で勇壮に担がれる日吉大社の神輿(2019年4月12日撮影)

馬渕直樹宮司は「伝教大師は日吉の神様の申し子。説かれた教えがさらに広まり、神輿を通じて日吉大社との縁も知ってもらえたらうれしい」と話す。

展覧会の見どころ、チケット情報は公式サイトで → https://tsumugu.yomiuri.co.jp/saicho2021-2022/

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