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2022.3.11

【文化財継承の現場vol.4】材料確保、後継者育成へ 館内外の人員一体で…東京国立博物館

国立博物館に備えられた修理施設を紹介するシリーズです(最終回)。多彩なコレクションを有する東京国立博物館では、展示前の応急修理が必要な場合も多くあります。館内外の人員を動員し、臨機応変に対応する仕組み作りを伺いました。

技術者も、材料や道具の生産者も 後継者の確保・育成が課題

日本の文化財は、民間の業者によって修理され、守られてきたが、第2次世界大戦後は、修理技術や材料の調達、修理道具の生産を担う後継者の確保・育成が大きな課題となった。

このため文化庁は、1975年(昭和50年)の文化財保護法改正を機に修理技術などを選び、その保持者・団体を認定して保護に乗り出す。京都国立博物館に公営修理所を開設するのは5年後で、選定保存技術を持つ民間の工房に作業場を提供して館内外の文化財を修理している。

昨年末には「文化財のたくみプロジェクト」を決定し、持続可能な文化財修理のため修理技術、材料などの確保・育成を強化している。

年間200件を超す修理
東京国立博物館所蔵の国宝「普賢菩薩像」は、2019年度から修理が進められている

一方で、東京国立博物館(東京都台東区)は、所蔵する文化財を自ら修理するため「保存修復課」を設けている。

X線撮影などの調査、木彫や染織の修理を行う技術者から、環境科学の専門家、絵画など美術史研究者を抱え、手掛ける修理は年間約50件、応急的な修理は約250件にのぼる。

冨坂賢・保存修復課長は「館内のスタッフで修理を行える態勢を整えつつ、国宝などの本格的な修理は外部の工房に発注している。館内外のメンバーが一体となることで多くの文化財を適切に管理し、保存していくことが可能になる」と説明、外部への貸し出しに応じて民間の修理業者を呼ぶなど、機動的に対応しているという。

(2022年2月17日付 読売新聞朝刊より)

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